「ジャパニーズウイスキーの定義」が4月1日から明確に。今ごろなぜ?
2021年2月16日、日本洋酒酒造組合は「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準の制定について」という発表を行いました。待ち望まれてきたジャパニーズウイスキーの表示に関する基準が、自主基準とは言え明確になったのはうれしいところです。今回は、この基準について紹介します。
近年、ジャパニーズウイスキーが世界中で高い評価を受けるようになりました。日本で本格的なウイスキーが作られてから100年。ニッカやサントリーのウイスキーが各種コンテストで最優秀賞を獲得し、後を追うようにいくつものウイスキーの蒸留所が誕生しました。それに比例して、ジャパニーズウイスキーの価格も高騰しました。
これまで、日本では海外から輸入したウイスキーを混ぜても、国産として表記できました。食品であれば、もっとも多く使っている原料をわかるように書かなければならないのですが、ウイスキーであれば比率を隠すこともできます。
さらに、酒税法では海外のウイスキーどころか、醸造用アルコールやウォッカを混ぜてもよかったのです。例えば、ある日本の酒造メーカーが出している安価な価格帯のウイスキーには、原材料にモルト、グレーンそしてブレンド用アルコールと明記されています。
安価なお酒もありがたいのですが、国産の原材料にこだわり、世界トップクラスの品質を誇るジャパニーズウイスキーとは異なるものだということははっきりさせておかなければいけません。そうでなければ、海外の人が勘違いして飲み、ジャパニーズウイスキーのクオリティは低い、と勘違いされては先人達の努力が無駄になってしまいます。さらには、日本のウイスキーを使っていなかったり、日本の酒税法上ウイスキーとは呼べないお酒を、ジャパニーズウイスキーとして販売しているケースもありました。これは市場に混乱を招きます。
世界を見ても、スコッチウイスキーもバーボンウイスキーもワインも明確に基準が設けられており、基準を満たさなければスコッチやバーボンを名乗れないのです。
日本ワインは2015年に「果実酒等の製法品質表示基準」という国税庁告示第18号が交付され、2018年に施行されました。日本ワインと名乗るには、国産ブドウのみを原料として日本で醸造されなければならないのです。
けっこう雑だったこれまでの国産ウイスキーの定義
スコッチやバーボンにも基準がある
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お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる
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