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五輪中止“日本には決定権がない” というIOCのボッタクリ契約。中止したらどうなる

 東京五輪を「中止すべき」という声が、国内外で高まっている。だが、菅総理は「開催は、IOC(国際オリンピック委員会)が権限を持っております」(4月23日の会見)と他人事のように語る。開催国なのに日本側に決定権がないというのか? 
Thomas bach, IOC President

トーマス・バッハIOC会長(2020年1月、スイス)(C) Eric Dubost

 今回、東京都・JOCとIOCが結んでいる「開催都市契約2020」を、経済評論家・佐藤治彦氏が改めて読んでみた。たしかに「中止する権利」は「IOCが有する」と書いてある、驚くべき契約書なのだがーー。(以下、佐藤治彦氏の寄稿)

世論調査の6割が「中止・延期」でも議論さえしない政府

 錦織圭「(オリンピックの開催について)死者がこれだけ出ていることを考えれば、死人が出てまでも行われることではない」(5月10日、イタリア国際での会見)  大坂なおみ「オリンピックは開催してほしいけど、それ以上に大切なことがたくさんある。人々を危険にさらしているなら、今すぐ(開催するかどうか)議論すべきだと思う」(5月9日、同)  とうとうトップアスリートからもこの夏の東京オリパラ開催について疑問の声が上がった。  7月の東京都議会選挙と秋までの総選挙を控える菅内閣にとって、東京オリンピック問題で失敗することは許されない。  今や2021年夏の東京オリンピック開催については、ほとんどの世論調査で6割以上が「今年の開催」に反対しているのが現実だ。
五輪中止署名

宇都宮健児弁護士が5月5日に始めた「五輪中止」のネット署名は、5月14日正午時点で35万筆を超えている

 当初は聖火リレーが始まり、期日が近くなれば数字は変わる、特にワクチン接種が進み、オリンピックが実際に開催されれば、国民の意識は大きく変わるはずと言われていた。  しかし、3月に始まった聖火リレーを意気揚々と報道しているのは、“皆さまのNHK”くらいで、多くの自治体で感染リスクがあるため公道を走ることを中止したとか、規模を大幅に縮小したという報道ばかりだ。ほとんど走っていない聖火のバトンが渡されていると多くの国民が知っている。  毎日新聞が5月3日に発表した全国47都道府県知事に行ったアンケートで、オリンピック競技が行われる埼玉、静岡、山梨を含む9県の知事でさえ「感染状況次第で中止・延期にすべきだ」とし、それ以外の多くの知事も「わからない」と回答したのだ。  5月17日に予定されていたIOCのバッハ会長の来日も延期され、今や誰が東京オリパラの開催断念を言い出すのかという噂がネット空間を飛び回る事態になっている。  とにかく開催を望む声が上がらない。

「選手村で100人、1000人の感染者が出るかも」

 つい2年半前。2018年10月の世論調査では、東京が開催都市になることについて「良い」と「まあ良い」を合わせると85%という数字だった(NHK調べ)。  2018年10月といえば、すでに東京招致が決まって5年。東京オリンピックは当初言われたコンパクトで金のかからない大会などではなく、史上最大の莫大な費用がかかること、日本オリンピック委員会が招致活動で買収をしたのではないか?という報道までされたころである。  それでも、大部分の国民は開催に圧倒的な支持をしていたのだ。    それが1年3ヶ月前からの新型コロナウィルスのパンデミックで逆転した。ほとんどの世論調査で、国民の6割以上が反対する。このままでは第二次世界大戦後のオリンピックで唯一の、開催都市の住民に歓迎されないオリンピックになってしまうだろう。  開催すれば、国民の意識は変わるだろうという政治家の読みも、先の錦織圭選手の次の発言が開催のリスクを的確に示している。 「良いバブル(=毎日検査を受け、移動を競技場と宿泊施設などに限定するなど感染防止策)をつくれるなら(開催)できるかもしれないが、それでもリスクはある。選手村で100人、1000人の感染者が出るかもしれない。コロナはとても簡単に拡大するから」。
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「日本側に決定権がない」不利な契約書
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