更新日:2021年05月16日 13:01
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五輪中止“日本には決定権がない” というIOCのボッタクリ契約。中止したらどうなる

去年の時点で「2年延期」と交渉していれば…

 返す返す残念なことがある。それは、昨年の政治の判断ミスだ。  昨年の3月に日本側から2020年のオリンピックの延期を求めた時に、IOCはすんなりと受け入れた。ポイント5つ目にあげたように、コロナで東京オリンピックの契約締結時には予見できなかった不当な困難が生じたので合理的な変更を申し出たということに当たるからだ。  2020年3月24日。その日、当時の安倍首相はバッハ会長と電話で1年延期でほぼ決めてしまった。その時に、延期を1年でなく、2年としておけば、つまり、2022年夏への延期にしておけば、日本国内のワクチン接種も流石に終わっているだろうし、諸外国、少なくとも主要国の多くの感染も落ち着いていたのでは無いだろうか。  2022年7月であれば、それこそ人類がコロナウィルスに打ち勝った証としてのオリンピック大会になったのにと思うと重ね重ね残念だ。

今でも、日本人の4割が「今年か来年以降にやりたい」

 最新の世論調査(読売新聞5月10日発表)によると、東京五輪の開催について「開催」は39%、「中止」は59%となっている。実は開催の是非に関する世論調査の設問がここ最近、微妙に変わってきている。  以前は、開催、延期、中止という設問が多かったのだが、観客を入れての開催、無観客での開催、中止というものに変わってきているのだ。  世論調査の手法でこの設問に変更すると開催志向の数字が伸びるとされる。読売の結果も、実は「無観客」23%、「観客数を制限して」16%で二つの合計で「開催」が39%だ。  1ヶ月前の世論調査(産経・FNN合同世論調査4月19日発表)では、「開催」24%、「中止」57%、「再延期」18%である。開催と再延期を合計すると42%。すでに大阪が医療崩壊状態になり、3度目の緊急事態宣言発令がほぼ決定されていた頃でも、これほど多くの国民が(今年か、今年でなくても)日本でオリンピックを見たいとしている。
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「再延期の要求」はできないものか
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経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『つみたてよりも個別株! 新NISAこの10銘柄を買いなさい!』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』、『安心・安全・確実な投資の教科書』など多数 twitter:@SatoHaruhiko

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