エンタメ

間寛平71歳、借金やガンを生きのびた秘訣を語る「恥を捨てて口に出すことや」

「篠原先生を紹介してもらってなかったら死んでいたかもしれない」

間寛平 こうして難関の太平洋横断を成功させ、アメリカ大陸から陸路をスタートさせた寛平さん。だが、ここからも様々な試練や困難が立ちはだかるわけだ。  特に、アースマラソンの最中に突如として前立腺がんを発症し、手術を余儀なくされたことは世間的にも大きな衝撃が走った出来事だった。 「ロサンゼルスに到着し、前立腺がんを調べるPSA検査で平均より高いPSA値が検出されたんですよ。ただ、がん細胞自体は見つからなかったんです。以降もニューヨークやヨーロッパに渡って定期的な検査をするもなかなかがん細胞は発見されない。トルコのボスポラス海峡を越えた辺りで検査したところ、PSA値が異常値を示し、ようやく前立腺がんと診断されました。幸いにも転移は見られなかったので、ホルモン治療をしながらアースマラソンを続行したんですね」  しかし、ホルモン治療では根本治療には至らない。道中を共にしていた比企さんは何か最善策はないかと調べ始めたところ、前立腺がんの名医である篠原克人先生がサンフランシスコにいることを知ったという。 「アースマラソンをいったん中断して比企がヨットを直しに兵庫へ行っている際に、偶然入った居酒屋のお客さんから『篠原さんという名医がおるで』と紹介してもらったんですよ。今思えば、比企がその居酒屋に入り、知らない人から篠原先生を教えてもらってなかったら、今頃天国にいたかもです」  そして2011年の1月に幾多の試練を乗り越え、悲願のアースマラソン完全制覇を達成。 総移動距離は40,000kmを超えるという、想像もつかないほどの長い道のりを2年以上かけて走破し、前人未到の歴史的偉業を成し遂げたのだ。

常に“前進前心”。とにかく口に出して気持ちを伝えるのが大切

 これまで生きた半生は決して順風満帆とは言えず、度重なる苦労の連続だった寛平さんに、世の中を生き抜くための“寛平流処世術”について聞いた。 「過去を振り返られず、未来ばかり見ていますね。止まると死んじゃうと思っています(笑)。よく言うのは“前進前心”。素直な気持ちでちゃんと物事をやっていけば、運を引き寄せ、良い方向に人生が進む。  自分自身を振り返ると『運が40%』『人の力が40%』『自分の力が20%』だと思っている。事あるごとに人に助けられ、あるいは運が味方してくれたことで今の自分があるので、本当に周りに感謝しています」 いくつになってもあまえんぼう 今年は、舞台公演「間寛平 芸能生活50周年+1 記念ツアー」や楽曲「8、9、10の歌~BEAT THE CORONA(コロナに負けるな)~」の制作など、新喜劇や音楽活動にも力を入れ、まだまだ“現役”として健在の寛平さんだが、最後に読者へのメッセージを語ってもらった。 「SPA!さんの読者は、逃げ切れない世代の方が多いと伺いましたが、決して逃げんといてくださいね(笑)。コロナで辛い時期かもしれへんけど、大事なのは辛いこと、楽しいこと、なんでもいいので“口に出すこと”です。  僕も困ったら、周りの人に結構お願いしながらこれまでやってきました。今の人は恥ずかしがってあまり口に出さない気がするので、そんなもんは捨てて、友人・知人にはっきりと言ってみてください。解決できない問題を抱えて悩んでいても、とにかく口に出して周囲に相談してみるといい。必ず誰かが心の支えになってくれるはずです。僕も今年で72歳ですが、まだまだ頑張りますので、一緒に困難な状況を乗り越えていきましょう!」 <取材・文・撮影/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
1
2
3
4
おすすめ記事
ハッシュタグ