更新日:2021年04月26日 12:44
エンタメ

3時のヒロイン福田麻貴の「容姿ネタ封印」は、世の中が求めていることなのか

福田麻貴「容姿ネタ封印」宣言の衝撃

 3時のヒロイン福田麻貴が「この数週間で容姿ネタに関してじっくり考える機会が何度かあって、私達は容姿に言及するネタを捨てることにしました!」とツイートして話題となった。そして、その真意を語るため「ワイドナショー」(フジテレビ系)に出演した。 「容姿をイジるネタは、劇場でもどんどん受けなくなっているのを肌で感じていた、特に“デブ”とか“ブス”とか言ったら全く受け入れない。そのネタをテレビでやった場合、誰かを傷つけてしまうかもと考えてしまう。容姿いじりは大衆的でない」と福田はコメントした。  番組にゲスト出演していたEXITの兼近は「その流れは当然。自分たちが人をいじったり馬鹿にしたりして笑いを取るのは、年上の世代に迎合して行っている」と語った。  これは大変だ。「下ネタと他人の悪口以外に笑いって何があったっけ?」と考えてしまう私など石器時代の人間である。若者が他人をいじる類の笑いを、一切受け付けないとしたら、私にとって仕事的にも私生活の上でも由々しき問題だ。そして、私はそんな嘘っぽい社会を悲観する。

ネットの書き込みで、芸人がネタを封印するべきか?

 福田麻貴は「芸人と視聴者の間で価値観のねじれがある。昔は視聴者が、テレビはフェイクだとうっすら分かってみていたが、最近、ユーチューブなどリアルを求められている時代になっていて、若ければ若いほど、テレビのこともリアルにドキュメントとして捉えている。そのため芸人にとっては“いじってくれてありがとうございます”なんですけど、視聴者からしたら“かわいそうでしょ”と捉えられる」と、容姿いじりが若者に受け入れられない理由を分析する。
 私もネットの書き込みのとんちんかんぶりには度々自分の目を疑う。特にタレントの発言に対してのそれは、勘違いの度合いが強い。正義中毒気味のネット言論では「思いやりの裏返し」が理解されにくい。ささいなきっかけで吊るし上げに遭う可能性がある現代社会では、どうしても他人の目ばかり気にすることになる。「こんなことで笑う人」だと思われたくないから、不道徳な笑いを忌み嫌う風潮が生まれるのだと思う。ただ、ネットの書き込みに影響されて、芸人がネタを封印するべきなのだろうか?  福田麻貴は、ネットの書き込みだけを見て件の主張をしているのではなく、劇場で肌で感じたことだという。そうであるならば、現実の確かな一面であると認めなければならないと、私は思った。ただ、「ワイドナショー」を見直し、ネットで福田麻貴の発言を追えば追うほどもやもやとした、納得できない気持ちになった。
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「ブス」「デブ」がアウトなのは当たり前
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1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina

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