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EV車普及で”トヨタの労働者は失職する説”は本当か?水素に賭ける狙いとは

水素自動車普及の鍵は”仲間作り”

 こうした課題を抱えつつも、水素自動車が普及していくとすれば、どのようなルートがあるでしょうか。それは、仲間を増やすこと。  自動車メーカーに限らず、どの企業もこれからはいかに二酸化炭素を排出しないカーボンニュートラルを実現できるかが焦点になってきます。そこで、トヨタの水素燃料電池技術を、他社でも使えるようにすることにトヨタが動けばよいのです。  ここまで、トヨタは小型トラックや大型トラック、バスを手掛けてきました。  今後は、鉄道、船舶など豊富な用途に適用すされることで、仲間とともに「水素社会」を作っていくシナリオが考えられます。ちなみに、レクサスは船も作っているので、決して非現実的なシナリオではないと筆者は考えます。  また、この手の話になると一貫して「今後、どんな新車を開発すればよいか」という話になります。しかし、そもそも世の中にはすでにたくさんの中古車が溢れています。  この中古車にも豊田社長は注目しており、「保有のクルマについても目を向けるべきでないか。クルマ社会全体でカーボンニュートラルを実現する手段を作っていくべきだ」と語っています。  かつて、「21世紀に間に合いました」のコピーで話題となった世界初のハイブリット自動車プリウスを発表したトヨタ。それから各自動車メーカーがハイブリット車を開発したのは説明不要でしょう。今や、あのポルシェも電気自動車を発売する時代です(タイカン)。  これからは、「22世紀に間に合う」新たなエコカーをトヨタが牽引して生み出す可能性は大きいと言えるでしょう。
馬渕磨理子

馬渕磨理子

<文/馬渕磨理子>
経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi
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