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ネット保守が醸し出す「身内に甘い」というダサさ。敵には厳しいけれど

保守派は道徳にうるさい人が多いが……

ネット保守

’19年10月、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の最終日を終え、報道陣の取材に応じる愛知県の大村秀章知事。大村知事のリコール運動を巡って集められた43万5000人分の署名のうち、83.2%が偽造などで無効と判断された 写真/時事通信社

 保守派といえば道徳にうるさい人たちが多いのですが、かといって道徳に熱い想いを持つ人が道徳的にハイレベルかは別問題です。  韓国では「自分がやればロマンス、他人がやれば不倫」という言葉があるそうで、まさに日本でも同じ現象が発生しています。愛国的なはずの保守派が国の威信を損なうような陰謀論を吹聴したり、不正によって署名を水増しするなどあってはならないことです。  愛知県知事へのリコール運動は、’19年に行われたあいちトリエンナーレに抗議する意味で展開されたものです。昭和天皇の肖像を焼くものをはじめ、公金を使ってやるものかと大きな批判が巻き起こりました。大村秀章県知事への怒りが河村たかし名古屋市長や美容クリニック経営の高須克弥院長らをリコール署名運動へと駆り立てました。

署名偽造で揺らぐ保守派

 多くのネット保守派はこの運動を応援(僕もです)しましたが、署名の集まりが芳しくなく、大量の署名偽造が佐賀県で行われて発覚し大問題になりました。真面目にリコールをやろうとして参加したボランティアの方や寄付をした人をも侮辱する行為です。  この件は事務局長を務めた田中孝博氏が主導したと見られ、本人だけでなく妻と次男、さらに事務局幹部も1人逮捕されています。  田中氏は元愛知県議員で維新の会の衆院愛知県第5選挙区支部長でした。ですから、今年行われる予定の衆院選に出馬する予定だったのです。この運動を通じて名前を売りたいという目論見でもあったのか……どちらにしても、あってはならない不正を展開した結果、2月の段階で支部長を辞退しています。  また、活動を巡って高須院長と河村市長が謎の絶交をしたことも話題になっています。運動はどちらの発案だったかなどが問題視されているようですが……当事者にしかわからない、譲れないポイントなのでしょう。
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人は「内集団バイアス」がかかりやすい
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