更新日:2021年06月06日 05:42
ライフ

ネット保守が醸し出す「身内に甘い」というダサさ。敵には厳しいけれど

人は「内集団バイアス」がかかりやすい

 僕は動画でも最近のネット保守派の失態について自省の意味も込めて批判的に捉えているのですが、決して気持ちがいい行為ではありません。  人間どうしても「内集団バイアス」といわれるように、自分が所属する「帰属感」を得られるグループの人物や出来事には甘い評価をして、ほかのグループには厳しくあたってしまいます。  これまでネット保守はマスコミや左派界隈を激しく批判してきました。しかし、いざ自分たちのグループが批判される立場になるとダンマリを決め込んでは、今まで批判してきた対象と何が違うのかという話です。結局突き詰めると、思考の方向性が違うだけで、同じことをやってしまっているのです。  日本人は後ろめたいことについて「もういいじゃないか」とか「水に流そう」で検証も振り返りもなく忘れてしまおうとするクセがあります。僕もネットで今回書いたような主張をすると、言われることがありますし、それこそ中傷されることもしばしばです。  しかし直視しなければ同じ過ちを繰り返してしまうのではないでしょうか。それは当然かっこいい行為ではありませんし、むしろ問題から逃げている点で最高にダサいものです。

立ち止まり、問題を本質的に考える

 ビジネス的に考えると、気持ちいいことだけを言い続けるのがよいのだと思います。ただそれで日本社会がよくなるのでしょうか。内集団バイアスは誰にでも働く心理ですが、時には立ち止まって問題があれば本質的にどうなのかと考えてみることが大事です。  しかしネット、特にSNSというツールは人を思考から遠ざけます。アルゴリズムが判断して、その人好みの見たい情報だけ見える世界が形成されてしまいがちですし、同じような傾向の人たちが集まって極端な方向に行きがちです。ですから、たまにはネットの世界から離れる日をつくると、思考も整理できていいのだろうと思います。  そんなわけで「短期集中連載」はこれにて終了です。ご高覧いただきまして誠にありがとうございました。また動画の世界でお会いしましょう。 今週の一言 ネット保守も自分たちが批判される立場になるとダンマリを決め込んでは左派と何が違うのか <文/KAZUYA>
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動画で解説
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動画配信者、作家。1988年、北海道帯広市生まれ。2012年より、YouTubeとニコニコ動画にて「KAZUYACHANNEL」を開設し、政治や歴史、社会問題などのニュースをほぼ毎日配信する。YouTubeのチャンネル登録者数は70万人超、ツイッターのフォロワーは11万人超。『日本人が知っておくべき「戦争」の話』など著書多数

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