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卒業証書を破ったゆたぼん。動画内で目立った“嫌悪の表情”を解析

ゆたぼんは本当に「人生は冒険」と思っているのか?

 ところで、嫌悪は「人生は、冒険だぁ!」という言葉そのものにも向けられている可能性があります。  今回の分析のために「少年革命家ゆたぼんチャンネル」を数十本閲覧したところ、全ての回において、この種の言葉(「人生は冒険や」「人生は冒険だ!自由に生きよう!死んだらアカン!」等)が発せられていたことから、この言葉は、ゆたぼんの想いを凝縮した決め台詞だと考えられます。  しかし、今回の冒頭及び2:50-2:54だけでなく、この台詞を言うとき、ゆたぼんは、毎回嫌悪表情になっています。強いメッセージが込められているならば、決意を示す表情、例えば、眉が中央に引き寄せられ、眉間にしわが寄り、まぶたが引き上げられ、目がカッと開く動きになるのが感情の流れに適合します。  また、その他メッセージを発するときも、ゆたぼんは、全体的に怒りや決意よりも嫌悪が多いように思えます。  自身の決め台詞や言葉に伴う具体的な行動・活動計画が決まっていないため、嫌悪表情が多いのではないかと考えられます。ゆえに、積極的に様々な行動を起こし、色々な人々に出会う中で、自身の中に信念が確立されるのを待っているのではないかと思うのです。  ゆたぼんは、信念や信条が先ではなく、行動が先なのでしょう。信念が成就せず、絶望してしまうより、まずは行動し、自分にとって心地よい考え方を形作っていく方が幸せになれるのかも知れません。

そんなゆたぼんに伝えるメッセージ

 一点気になることは、小学校で一定期間にわたり嫌な体験をしたことがここまで学校を拒否するようになったのはなぜか、ということです。  ゆたぼんの学校に向けられる感情が怒りではなく、嫌悪であることもそうですが、本動画にあるように良い先生との出会いもあり、沖縄の小学校で卒業証書をもらいに行く映像を観る限りでは、沖縄の先生方とも関係は悪くないように思えます。別の動画では、中学校にも行かないと宣言しています。  動画では元気いっぱいのゆたぼんですが、学校では抑圧され、自分を表現することが出来なくなってしまうのでしょうか。あるいは、中学校に通ってもよいかもと思っているものの、不登校キャラを演じる必要にあるのでしょうか。  ゆたぼんは時々、自身のチャンネル内で学校に関するニュース記事を読み上げ、変だと思われるルールを批判しています。もちろん、ニュース記事を批判することは悪いことではありません。  しかし、ゆたぼんは現役の中学生であり、リアルな中学の現場を体験することが出来ます。中学に行き、それが難しければ、同年代の子たちの意見を聞き、当事者意識を感じる問題を取り上げ批判した方が、ゆたぼん独自の強いメッセージを伴った学校の問題を訴えることが出来るのではないかと思います。  最後に、私からゆたぼん君へのメッセージ。  君は卒業証書は破ったけど、もらった花束を千切ったりはしなかったんだよね。命を大切にしているわけだ。でも、卒業証書を破ったことで、証書を用意してくれた人の想いを蔑ろにしたと思う。人は物理的に生きているだけでなく、心で生きているんだ。大人だって、きっと、傷つくよ。命だけでなく、人の想いも大切に、君の人生を送ってほしい。 <文/清水建二>
株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役、防衛省研修講師、特定非営利活動法人日本交渉協会特別顧問。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。著書に『裏切り者は顔に出る-上司、顧客、家族のホンネは「表情」から読み解ける』中央公論新社、『ビジネスに効く 表情のつくり方』イースト・プレス、『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』フォレスト出版、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』飛鳥新社などがある。
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