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芸人の師弟制度が存在する意味とは?誰もが“芸”を配信できる時代に考える

子供が芸人になりたいと言ったらどうするか?

吉本NSC伝説の講師・本多正識氏 もし子供さんが「お笑い芸人になりたい!」と言われたら、あなたならどうされますか?  私が子供に言われたら……過酷な現実を伝え、成功する保証は1ミリもないことを十分に説明したうえで、それでもやりたいならやらせると思います。  そこで一生懸命にやっていれば、たとえお笑いで芽が出なくても、どこかの世界できっと芽が出て、自分の居場所を見つけることができるでしょう。「一生懸命にやる」ということが一番重要なことだと思います。  お笑いの世界に入って38年、NSC講師になって32年。「弟子」と「養成所」どちらも間近で見てきた私が思うことは、当たり前ですが「人それぞれ」自分の好きな方を選べばいいと思っています。

お笑い界の落ちこぼれでも世間では……

「好きな方」といっても、どちらも入ってみなければわからないし、入ったからどうにかなるものでもありません。要はお笑いの世界に向いているかいないかの問題。  最初の授業で生徒に伝えますが、お笑いの世界で残れるかどうかは「向いているか」「向いていないか」のどちらかです。「向いている人」は一日中、何か面白いことはないか考えることが苦痛ではなく、たとえ苦痛でも喜びの方が大きく、人に笑われる(厳密には笑わせる)ことに快感を覚える人。 「向いていない人」はどちらも苦痛で続けられない、お笑い界では「落ちこぼれ」になります。でも、仮にお笑い界の「落ちこぼれ」でも安心してください。一般社会では極めてノーマルな人なのですから…。 文/本多正識
漫才作家。'84年、オール阪神・巨人の台本執筆を皮切りに、漫才師や吉本新喜劇に多数の台本を提供。'90年吉本総合芸能学院(NSC)講師就任。担当した生徒は1万人を超える。著書に『吉本芸人に学ぶ生き残る力』(扶桑社刊)などがある

吉本芸人に学ぶ生き残る力

NSC講師として1万人以上の生徒を送り出した伝説の講師が教え子たちに教えた生き抜く術とは

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