ライフ

虫に刺されて死なないために。アウトドアで要注意の虫リスト

アウトドアの虫対策で必要なこと

 自然の中に入るときは長袖長ズボンが基本です。加えて、いまはよく効く虫除けスプレーがあるので、状況に合わせて使ってください。
虫除け

ディート30%配合の虫よけスプレーの例

 数年前にディートという虫よけ成分が30%含まれているものが一般向けにも発売され、研究者の中では「ついにそこまで、踏み込んだか!」とちょっとした話題になりました。  僕がパナマで虫除けスプレーを使うときは、ディート80%のものを使っています。パッケージにドクロマークが描かれていて皮膚につくと焼けるような痛みがあります。もちろん30%はそこまで強くはありませんが、かなり高い忌避効果があります。  また、知り合いのフィールドワーカーはハッカオイルを使っています。自然由来の優しい成分で子どもも安心して使えます。長袖長ズボンのところに吹きかけておくと、虫が近寄ってこないようです。  そして、山や林に入ったとき、大きな木のそばに行ったとき、畑仕事をしたとき……体をチェックすることを習慣にしてください。我々のような研究者はフィールドから戻ったとき、必ず全身を確認します。一般の人が立ち入らない山深いところに入るためですが、毎回必ず何十個体のダニが洋服についているのを発見します。

豊かになった自然と気候変動と

 僕が子どもの頃よりダニやヒルは数が増えています。学生時代(30年ほど前)は、フィールドワークに出てダニが体についているということはほとんどありませんでした。意外に思われるかもしれませんが、30年前より自然は豊かになっているのです。  また、地球温暖化の影響で日本の環境が変化している感覚は、僕だけでなくみなさんにもあるでしょう。さらにグローバル経済化の影響でヒアリなどの外来生物も入ってきていますので、厄介度合いは明らかに上がっているのです。  自然と親しむことはとてもいいことです。だからこそ、ここで紹介したようなリスクについては、基礎知識として覚えておいてほしいのです。かゆい、イタいといったイヤな思いをしなくて済むということだけではありません。 COVID-19だけでなく感染症の多くは、みんなの警戒心が薄れたときに流行が拡大するということを繰り返しています。意識をすることで、防げることはたくさんあるのです。 【村上氏の関連記事を読む】⇒猛毒ヒアリ、また東京にいた。60回刺された専門家に聞く“ヒアリとコロナ” 【村上貴弘(むらかみたかひろ)氏 プロフィール】 九州大学持続可能な社会のための決断科学センター准教授。 1971年、神奈川県生まれ。茨城大学理学部卒、北海道大学大学院地球環境科学研究科博士課程修了。博士(地球環境科学)。研究テーマは菌食アリの行動生態、社会性生物の社会進化など。NHK Eテレ「又吉直樹のヘウレーカ! 」ほかヒアリの生態についてなどメディア出演も多い。著書に『アリ語で寝言を言いました』、共著に『アリの社会 小さな虫の大きな知恵』など。 <文/鈴木靖子>
1
2
3
4
おすすめ記事
ハッシュタグ