お金

借金500万円男、1万円を手にパチンコへ「挑戦したという言い訳が欲しかった」

後悔は金のことばかり

 一昨年の8月、僕はフィリピンで1か月間ホームレスをしていた。2年も経った実感がない。  去年の8月、僕は職安でホームレスの人たちと仕事をしていた。1年も経った実感がない。  26歳になり、27歳になり、今年28歳になる。単調な仕事ばかりしていると1日は長いが、人生は短い。  人生を振り返った時、「あの時勉強していれば……」と何年分も取り戻そうとはせず、まずは昨日、先週、1か月前の失敗を取り戻そうとする。携帯を落としてやむを得ず払った修理代、成り行きで誘われて行った飲み代。  金に執着がないと言っておきながら、直近の後悔は全て数千円から2万円までの金のことばかりだ。

そしてパチンコ屋に入る

 さっき会った人が見えなくなるのを待ち、久しぶりにパチンコ屋に入る。こうしたいとか、ああなりたいとか、そういう願望は一切ない。なんとなく自分の中で必要になったのだ。 「失敗したけど、挑戦はしたから仕方がない」  という言い訳が。  去年ほどのモチベーションを持たずにパチンコ屋に入った。「最近ちゃんと働いてるね」と言った全ての人の目につかないよう、周囲を注意深く観察し、見覚えのある顔がない事を確認する。運命は気持ちで変わるから負ける未来ははっきり見えているが、「仕方がない」が欲しいから仕方がない。  久しぶりに惰性でパチンコを打って負ける人間の店内循環パターンだが、まずは大体端にある海物語の島から順番に練り歩く。 「久しぶりに海」はジジイのやることで、若いうちは知ってるアニメのタイアップや珍しい仕組みの台がないかを確認する。海物語と新台は大抵の場合離れて置かれているので、店内を順番に見た時に少しずつ気持ちを盛り上がらせるために海物語からスタートする。お察しの通り、僕は1番気に入ったおかずを最後の一口にするタイプだ。  気に入ったおかずがなければ、刺激の強いものを選ぶ。ここ数年は、当たれば少なくとも2万円近く出てくる一発台、特に「天龍」を選ぶことが多い。難易度の高い台ほど「挑戦した感」が増し、失敗した時の言い訳として強固なものになる。  80%勝てる小さな勝負よりも、80%負ける大きな勝負で負けた方が勇ましい。負ける相手は自分ではなく、コントロール出来ないほど強大な運命だ。
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パチンコをやる意味
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フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。 Twitter→@slave_of_girls note→ギャンブル依存症 Youtube→賭博狂の詩

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