お金

借金500万円男、1万円を手にパチンコへ「挑戦したという言い訳が欲しかった」

―[負け犬の遠吠え]―
ギャンブル狂で無職。なのに、借金総額は500万円以上。 それでも働きたくない。働かずに得たカネで、借金を全部返したい……。 「マニラのカジノで破滅」したnoteが人気を博したTwitter上の有名人「犬」が、夢が終わった後も続いてしまう人生のなかで、力なく吠え続ける当連載は59回目を迎えました。  今回はひっそりとパチンコで1万円負けたお話です。

久しぶりの再会は突然に

パチンコ「○号車の兄ちゃんじゃねえか」 都内某所のパチンコ屋の前を通りがかった時、懐かしい顔に声をかけられた。名前は知らない。僕は彼の輪番の番号と、過去しか知らない。 「あ、ゴミ拾いの時の」 「最近仕事してんのか?」 「この前まで現場入ってました。今は何もやってないんですけど」  仕事をやっている、と言うと「紹介してくれ」という会話が始まってしまう。どの道、今この瞬間は働いていないが、僕も元々紹介でしか仕事をしていない身分なので、「上」に断られた時に気まずい。保証できない以上は踏み込まないのが正解だ。最近やっとわかった。  金がない者が社会構造に白旗を挙げる時は、同じく金がない仲間にすがるか、死ぬ。仕事の話をしたり、思い切り悪いことをしようとしているうちはまだ大丈夫だ。  世間にとっていじらしく可哀想な弱者は、手を差し伸べても差し伸べなくても死ぬ。そういう状況を見てようやく社会は「助けてあげたい」と言う。そこまで追い込まれた姿を見てようやく赦すのだ。自分と似た大きな生き物が死ぬのは可哀想だから。 「そうか〜、俺にも仕事紹介してくれよ」  この人は元公務員で、喧嘩のしすぎでクビになり、その後も荒い気性のせいで何度も刑務所に入っている。と言われたことがあるので、そう覚えている。仲良くなればいい人なのは間違いないのだが、いかんせんクセが強い。 「まだ配信の投げ銭してます?」 「当たり前だろ、他にやることがないんだから」  かつて同じ現場で働いていた時、バスを降りてから毎回もらえる8000円を、彼はライブ配信の投げ銭で使っていた。Youtubeでもなく、インスタライブでもなく、聞いたことも無い配信サイトにハマっているらしい。

彼がどうやって生きているのかは知らない

 彼がどうやって生活しているのかはわからない。家はないらしい。リュックに入りきらない荷物をママチャリのカゴに詰め込み、東京都内の炊き出しなどに顔を出している。最近新宿に炊き出しが増えたと言っていたが、「そうなんですね」と適当に相槌を打った。彼らの情報網はインターネット並みに広く、平等だ。  黙っていれば確実に食べられるのに、思わず友達に喋ってしまう。女子中学生の「誰にも言わないでよ」みたいな口伝の波に乗って、全く知らない人にも知れ渡る。  生活保護は受けていないらしいが、話せば話すほどに金回りの辻褄が合わない。    が、追及はしない。僕も彼も、生活を極端に追及されることを嫌う人種だ。そういう体裁を求める社会の目に留まらないように生きてきた。 「暑いなあ、じゃあね」  そう言って重心が下がった自転車を転がす姿を見送った。そういえば連絡先も知らないのに仕事の紹介も何も無いだろう。 「仕事紹介して」  は、僕たちにとっての 「How are you?」  みたいなものなのかもしれない。日本人がよく使う「I’m fine. And you?」は海外ではあまり使わないらしい。
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実感がない……
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