更新日:2021年08月17日 11:45
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ネットで騒然「8月20日富士山噴火説」の真偽、火山学の専門家はこう見る

自然災害は、不意打ちを食らったときこそ被害が最大に

 専門家が24時間体制で富士山を見守っているからといって、そう簡単には安心はできない。なぜなら、自然災害で一番注意すべきは「不意打ちを食らったタイミング」だからだ。 「自然災害では何も知らずに不意打ちを食らったときに、被害が最大となります。日本は世界有数の火山国といっても、実際に噴火を見た人はそう多くはありません。つまり、多くの人は噴火を知らないということ。人間は経験のないことに直面した時にパニックに陥りやすくなります。したがって、富士山の噴火に対しても、前もって最新の情報を得ておくことが重要なのです。いざ、災害が起こってからでは遅いからこそ、『平時のうちに準備する』のが防災の鉄則です」

富士山の火山灰が、飛行機や新幹線を止め、交通の大動脈を寸断する

宝永噴火と同規模の噴火が起きた場合の降灰予測図

 では、仮に富士山で噴火が起こったら、どんな事態が発生するのだろうか。 「仮に、富士山でマグマが上昇して噴火に至った場合、これまでとは異なる様相の災害が起きることは間違いありません。たとえば、江戸時代の宝永噴火と同規模の噴火が、もし現在起きたと仮定した場合、首都圏を含む広い範囲で被害が想定されます。富士山の噴火では、溶岩流、土石流、火山灰による厚い堆積物という、直接起きる被害がまず想定される。そして、大量の火山灰が空中に飛散するでしょう」  溶岩流や土石流によって家や田畑に被害が起こるのと同時に、広範囲にわたって被害を与えるのが火山灰の存在だ。一見危険性が少ないように感じられる火山灰の被害こそが、実はかなり深刻なのだと、鎌田氏は続ける。 「何十日も舞い上がる火山灰は、通信・運輸に大混乱をきたす恐れがあります。たとえば、富士山の南を走る東海道新幹線と東名高速道路には、きわめて大きな障害となり、へたをすれば何日も止まってしまうことも起こりえます。日本では、上空高く舞い上がった火山灰は、偏西風に乗って東方へ飛来します。仮に、宝永噴火と同規模の噴火が起きた場合には、富士山の東にある羽田空港はもとより、成田空港までもが使用できなくなるはず。これらだけでも、首都圏を結ぶ大動脈は寸断されてしまいます」
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火山灰が及ぼす体への悪影響
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