いったいどうして『シン・エヴァ』は「よくわからない」と言われてしまうのでしょうか。これには主に2つの理由があると思います。 　1つは「知識の不足」であり、もう１つは「意図的な視点の固定化」です。 　まず、前者の「知識の不足」について。これはとてもシンプルで「劇中に登場する単語や言葉、現象の意味が十分に説明されない」ということになります。 　たとえば、劇中には「ガフの扉」や「ネブカドネザルの鍵」といった言葉が登場します。しかし、おそらく多くの人にとって聞きなじみのない言葉のはずです。 　登場人物のうち、何人かはこれらの存在や役割、引き起こす現象や結果などについて知っているように見えます。ですが、彼らは基本的に説明をしてくれません。 「ガフの扉」が開くとはなになのか、「ネブカドネザルの鍵」を使うとはどういうことなのか、視聴者にはまったく不明なままで物語は進行します。 　しかし、完全においていかれることもありません。なぜなら、「これらの『扉』や『鍵』がもたらす結果」は劇中で示されるためです。 「何がどうなってこうなるのか」という過程は一切わかりませんが、「こうなった」という結果だけは、常に示されます。これにより「なるほど、あれのせいでこうなるのか」という結果だけはずっと知ることができます。