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コロナ第6波はすでに始まっていた!統計から導かれる事実

代表的な都道府県の統計を見る

 ここまで、神奈川県と日本全体の統計を見てきました。ここで北から北海道、東京都、京都府、岡山県、福岡県における2021/11/18現在の2021/4/1からの統計を見てみましょう。
北海道における日毎新規感染者数、死亡者数の推移2021/4/1-2021/11/18

北海道における日毎新規感染者数、死亡者数の推移2021/4/1-2021/11/18。新規感染者数(青)と死亡者数(黄)は片対数(左軸)。新規感染者数の7日変化率(赤)14日変化率(灰)は、線形(右軸) <NHK集計データより>

東京都における日毎新規感染者数、死亡者数の推移2021/4/1-2021/11/18

東京都における日毎新規感染者数、死亡者数の推移2021/4/1-2021/11/18。新規感染者数(青)と死亡者数(黄)は片対数(左軸)。新規感染者数の7日変化率(赤)14日変化率(灰)は、線形(右軸) <NHK集計データより>

京都府における日毎新規感染者数、死亡者数の推移2021/4/1-2021/11/18

京都府における日毎新規感染者数、死亡者数の推移2021/4/1-2021/11/18。新規感染者数(青)と死亡者数(黄)は片対数(左軸)。新規感染者数の7日変化率(赤)14日変化率(灰)は、線形(右軸)<NHK集計データより>

岡山県における日毎新規感染者数、死亡者数の推移2021/4/1-2021/11/18

岡山県における日毎新規感染者数、死亡者数の推移2021/4/1-2021/11/18。新規感染者数(青)と死亡者数(黄)は片対数(左軸)。新規感染者数の7日変化率(赤)14日変化率(灰)は、線形(右軸) <NHK集計データより>

福岡県における日毎新規感染者数、死亡者数の推移2021/4/1-2021/11/18

福岡県における日毎新規感染者数、死亡者数の推移2021/4/1-2021/11/18。新規感染者数(青)と死亡者数(黄)は片対数(左軸)。新規感染者数の7日変化率(赤)14日変化率(灰)は、線形(右軸)<NHK集計データより>

 神奈川県を含む6都道府県について統計を見ると、8月末以降、美しい指数関数的減衰を続け日毎新規感染者数が2ppm程度まで減衰しましたが、9月シルバーウィークの影響で10月はじめから減衰速度が衰えはじめ、10月中旬から11月初頭にかけて下げ止まっています。その後10月下旬から11月上旬にかけて増加へと転じています。  東京都は、10月下旬以降、増加圧力と減衰圧力が押し合っている状態で、漸増を見せていますが、これは全国統計での昨年9月から10月にかけての第3波の始まりと酷似しています。  北海道では、11 月に入り旭川などで大型のクラスタが発見され、日毎新規感染者数の統計が跳ね上がっていますが、短期・中期・長期増加傾向への変化は、クラスタ発見の前に生じています。

ワクチンによる限定的集団免疫

 さて本邦では、6月から10月の間、接種完了率平均15%/月という巨視的には理想に近い急速なワクチン接種が行われ、接種完了率は、76%とたいへんに高い値です。接種を二回行ったひとは高い抗体価を示し、δ株に対して30〜60%程度の感染回避能力があるとされています。
韓国、日本、中国、合衆国、台湾、インドにおけるワクチン接種完了率の推移(% 線形)2020/12/13〜2021/11/18

韓国、日本、中国、合衆国、台湾、インドにおけるワクチン接種完了率の推移(% 線形)2020/12/13〜2021/11/18 Our World In DATA(OWID)

 6〜10月に集中して75%近い人々のワクチン接種の結果、この期間における人々の持つ抗体免疫は最強となっており、限定的集団免疫が発揮されたと筆者は考えています。  事実、移動傾向が昨年同様に9月のシルバーウィークに激増し、その後も増加し続けた結果、新規感染者数の一週間・二週間変化率には昨年同様の跳ね上がり(急上昇)が見られましたが、複数回にわたってShoulder(肩)からSpike(棘)へ、SpikeからSurge(波)へと成長して第六の波が発生するという事が10月中旬までは制圧されてきました。  2020年同時期は、感染する力がデルタ株に比して遙かに弱い在来株であってもシルバーウィークを契機に発生した移動傾向の増加によって第3波エピデミックSurgeに成長してゆきました。  しかしワクチンによる抗体免疫は接種完了後4か月後から感染回避に不足しはじめ、6ヶ月後には失われるとされており、海外では既にそれによるエピデミックの再燃が見られています。  本邦では、6月に接種した人たちの抗体価が10月には感染回避に不十分なほどに減衰しはじめていると考えられ、筆者は注視してきましたが、10月下旬から11月上旬にかけて首都圏を中心に全国的に15〜20の都道府県で第6波の発生が強く疑われます。  合衆国では、6月末までに約50%の接種完了率で、その後は飽和してしまい、ゆっくりと増加していますが、この約50%の人たちのワクチンによる抗体免疫は既に切れ始めており、春までの感染による抗体免疫保有者も11月にはその多くの抗体免疫が切れています。その結果なのか、合衆国では11月に入り急速に感染拡大しています。合衆国における夏の感染拡大は、その大部分がワクチン接種をしていない人であったとされています。その為、接種率が極端に低い共和党系の南部(赤州)に偏在していました。今回は、合衆国北部にも広がっており、合衆国と同様にイスラエルでは接種完了者の重症化、入院も増えていることからアンソニー・ファウチ博士は、Booster接種を急ぐように呼びかけています*。 <*Fauci: Hospitalizations Rising Among Vaccinated Without Boosters, Transcript, CNN New DAY, 2011/11/18
合衆国、韓国、インド、日本、台湾、中国における100万人あたり日毎新規感染者数の推移(ppm, 7日移動平均, 線形)

合衆国、韓国、インド、日本、台湾、中国における100万人あたり日毎新規感染者数の推移(ppm, 7日移動平均, 線形)
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地域により二極化が著しい第6波エピデミックSurge初期過程
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誰が日本のコロナ禍を悪化させたのか?

急速な感染拡大。医療崩壊。
科学者視点で徹底検証!

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