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アメリカの「イベルメクチン使用で緊急入院増加」騒動とはなんだったのか?

「イベルメクチン」を巡る大騒ぎ

イベルメクチンを飲んだ人がたくさん病気になった」という報道が、8月からCNNやBBCで繰り返し報じられています。実は本邦でも業界誌では3月にはFDA(合衆国食品医薬局)による警鐘が報じられていました。 ●Ivermectin: CDC warns against use of anti-parasitic drug for Covid-19, as calls to poison control centers increase 2021/08/26 CNNCOVID-19に馬用の薬……イベルメクチンをめぐる議論を解説 2021/09/24 BBCFDAがCOVID-19へのイベルメクチン使用に警鐘2021/03/25 薬事日報  そして、この問題を有名にしたのがFDAによるTweet、「あなたは馬でも牛でも無い。真剣な話、止めなさい。」というものでした。CNN日本語版もこのTweetについて報じています※。 <*「あなたは馬ではありません」 コロナ治療目的での家畜用医薬品服用、米当局が警告 2021/08/23 CNN>  この問題を指摘したのは、オクラホマの救急医Dr. McElyeaへのインタビューを報じたオクラホマ地元放送局のローカルニュース*ですが、意図しない形での配信、拡散が世界中で行われたため大幅加筆**されています。 <*Patients overdosing on ivermectin backing up rural Oklahoma hospitals, ambulances 2021/09/01 KFOR Oklahoma City> <**More of Dr. McElyea’s Interview with KFOR 問題を指摘した医師のインタビューTV放送分詳細>  この報道については、相変わらずの面々の匿名・偽名・顕明のネット医者集団(自称「医クラ」)がイベルメクチンの臨床研究者への誹謗中傷を大合唱し始め、次いでDr. McElyeaの所属が問題の病院でないという続報(KFOR報道を原典としたガーディアン記事*のUp Dateによる)で当該記事自体を「デマ」扱いする人が多く現れるなど、おおもとのKFORによる報道に遡及しない罵り合いへと発展しました。現在も「医クラ」と称する「デマバスター」気取りの国策翼賛エセ科学・エセ医療デマゴーグ達による、最前線の研究者やCOVID-19臨床の最前線医療従事者への根拠薄弱な誹謗中傷が続いています。 <*Ivermectin misuse adding to Covid pressures at Oklahoma hospitals, doctor says 2021/09/04 The Guardian

何が起きたのか?筆者は報道に笑い転げ涙を流した

 一体合衆国では何が起きたのでしょうか?筆者は、8月9月と体を壊しておりほぼ寝込んでいましたが、寝床でこの「馬のイベルメクチンを飲む人が居て、FDAほか保健当局が困り果てている」という問題を、CNN U.S.の同時通訳付き報道番組New DAYで視聴し、腹を抱えて涙を流すほどに笑い転げ、腰痛に悶絶していました。  この報道の要件は、幾つかの要素に分かれますが、最大の要素は次の一文で表せます。 「動物薬、特に大型動物薬は絶対に飲むな、食べるな、塗るな、なめるな」  心当たりのある一文です。そう2020年にハーバービジネスオンラインに緊急寄稿し、COVID-19シリーズを執筆する切掛けとなった、トランプ大統領の面白発言*と同じです。 <*トランプ大統領が世界を震撼させた「漂白剤(家庭用消毒薬)を注射」発言はどれだけ危険か? 2020/04/26牧田寛 ハーバー・ビジネス・オンライン>  この記事と拙書『誰が日本のコロナ禍を悪化させたのか』で筆者は、人間用の内服薬以外の薬品について下記のように強調しました。 「飲むな、食べるな、混ぜるな、死ぬぞ」  当たり前の話ですが、お馬さんの駆虫薬は、人間の薬ではありません。漂白剤と同じで人間の体に入れてはいけません。話はこれで終わりです。  というところで記事を終わらせても不親切です。そこでもう少し掘り下げましょう。
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アメリカで飲まれたのは「お馬さんの駆虫薬」
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誰が日本のコロナ禍を悪化させたのか?

急速な感染拡大。医療崩壊。
科学者視点で徹底検証!

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