更新日:2022年03月25日 13:25
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数千万人規模の感染者が見込まれる第6波。大きく遅れる収束時期と求められるLong-COVIDへの対応

著しく収束が遅れる日本

コロナウイルス

写真はイメージです

 2021年12月から始まったCOVID-19第6波エピデミックSurge(波)ですが、2022年2月10日頃に減衰に転じました。筆者は、去る年末年始にο株Surgeについてお正月明けから社会への影響が激甚化し、1月末から2月上旬にかけて極大値となり、3月には社会への影響が軽減するほどに減衰するだろうと予測していました。  実際には、極大期までは年末年始に行った予測が的中しましたが、減衰過程については予測より遙かに遅いものとなりました。  現状では、1月末の予測「3月中には感染高リスク状態を脱し、5月連休頃には安全圏になる」*より遙かに長期化するものと思われます。 <*大竹まこと ゴールデンラジオ!2022年1月31日 牧田寛 文化放送>  それでは本邦の第6波の統計をみましょう。百万人あたり日毎新規感染者数(ppm;ピーピーエム、百万分率)、検査陽性率、千人あたり日毎検査数(‰;パーミル、千分率)、百万人あたり日毎死亡者数を見ます。グラフには原則として原典へのリンクが張ってあります。原典は基本的にOur World In DATA(OWID) です。OWIDの原典データはジョンホプキンス大学(JHU) の公開データで、おおもとは厚生労働省(厚労省)のオープンデータです。

感染者数統計 膨大な感染者数が見込まれる第6波

 まず感染者数です。日本、韓国、台湾、中国を比較しています。
日本と韓国、台湾、中国、世界、アジアにおける百万人あたり日毎新規感染者数の推移(ppm 7日移動平均 片対数)検査陽性率(色分け)2021/01/01〜202203/20

日本と韓国、台湾、中国、世界、アジアにおける百万人あたり日毎新規感染者数の推移(ppm 7日移動平均 片対数)検査陽性率(色分け)2021/01/01〜202203/20
OWID

 日毎新規感染者数を見ますと、本邦では12月はじめから感染者数が増加していますが、当初はδ株によるSurgeでした。12月下旬から急激に立ち上がっていますが、この頃ο株ドミナント(主たる地位)となっています。  第5波後、11月末までに折角日毎新規感染者数700ppb(一千万人あたり7人)/日という台湾並みの制圧寸前まで減衰していた本邦ですが、大晦日には3ppmと4倍程度まで増加し、成人の日の連休直後の1月13日には日毎新規感染者数80ppmとなり検査陽性率が10%を超えました。  検査陽性率が10%を超えると、サンプリング調査であることから、多くの市中感染者を「数え落とし」することによって統計が明らかな過小評価となります。この結果、1月13日以降は「実効再生産数」が全く無意味な数値となり、現在に続いています。  2月10日頃に約1000ppm(千人に一人)/日で極大値を取り、一週間に10%の減衰率でたいへんにゆっくりと減少しています。
日本と韓国、台湾、中国における累計感染者数の推移(人片対数) 2020/12/31〜202203/20

日本と韓国、台湾、中国における累計感染者数の推移(人片対数) 2020/12/31〜202203/20
OWID

 累計感染者数で見ると、3月22日までに本邦では760万人が第6波で感染しています。しかしこの数値は、検査不足による「数え落とし」によって著しい過小評価となっています。  保険指標評価研究所(IHME)による評価では、本邦のο株Surgeにおける真の感染者数を統計の8倍前後と推定しており、筆者による推定倍数である5〜10倍とよく一致しています。  筆者は、IHMEによる推定と筆者独自の死亡者数から推定から、3月中旬時点での日本における真の感染者数を2千万人から4千万人と推定しています。従って既に人口の四分の一前後がο株に感染しているという事になります。  筆者は、第5波、δ株Surgeでの感染者総数を300万人と推定しています。これもIHMEによる推定とよく一致しています。従って、3月中旬時点で第5波の10倍のひとが感染したという事になります。
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検査数統計 世界唯一の検査抑制により飽和が続く日本
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まきた ひろし●Twitter ID:@BB45_Colorado。著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題について、そして2020年4月からは新型コロナウィルス・パンデミックについてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中

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