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錦鯉、歓喜の号泣…「おっさんによるおっさんのためのM-1」決着までのドキュメント

▼5番手:真空ジェシカ

真空ジェシカ

真空ジェシカ ©M-1グランプリ事務局

 5番手は初出場の「真空ジェシカ」。「一日市長をやってみたい」というネタで、その中身ではスポーツ分野で使われるジャイロ回転や今では習わなくなった二進法、DV被害者のために考案されたハンドサインなどほかの芸人があまり取り扱わない事柄を駆使してボケを作り、その数も多く会場を大いにわかせた。  中川家礼二からは「一個一個のワードがハマっていた」、松本さんからは「確実にポイントを取ってくるやり方で1回も外すことなく見せつけられた」、巨人師匠からは「センスがめちゃめちゃ感じる」と大絶賛。ボケ担当川北茂澄君自ら「センスがあってかよったです」と笑わせた。得点638点。ゆにばーすと同点の第1位に。

▼6番手:オズワルド

オズワルド

オズワルド ©M-1グランプリ事務局

 6番手は3年連続出場、今大会の本命である「オズワルド」の登場である。2人には昨年から続く物語がある。昨年、オズワルドのツッコミ担当伊藤俊介君に対して松本さんからは「オズワルドは静かな感じで見たかった」とコメントをもらい、巨人師匠からは「最初から伊藤君が大きな声でツッコんだらどうですか?」という正反対とも取れるコメントをもらった。それに対する答えを今日この舞台で出さなければならない。  今回のネタは畠中悠君が「友達がほしい」と言い出すネタだ。その始まりに畠中君は「友達と渋谷のハチ公前で待ち合わせしてたけど、待っても全然友達が来ない。2時間待って気づいたけど俺友達なんていなかった」と少し怖いエピソードを語るのだ。このエピソードに対してならばツッコミを強くいける。むしろ弱いほうがおかしいぐらいだ。そう、この「弱いほうがおかしい」という状況さえ作れば、序盤から強くツッコめるし、ツッコんでも無理はしていないので両者が納得してくれるはずだ。後半、さらに声を張り上げるところも昨年のような無理矢理感はなく、突然「親友だ」と言われテンションを上げざるを得ない状況をしっかり作った。ネタ終了。  2人の審査員にしっかりとアンサーをした漫才であった。松本さんは「これだけ期待されながら、その期待をちゃんと乗り越えてくる。めちゃくちゃ面白かったですね」。巨人師匠は「直すところがないんちゃう。両方の意見を取り入れてくれている」。得点665点。その時点で2位と27点差をつけての第1位。両者が納得で高得点。優勝が完全に見えてきた。
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ロングコートダディ、錦鯉
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1972年、大阪府生まれ。1992年、11期生としてNSC大阪校に入校。主な同期に「中川家」、ケンドーコバヤシ、たむらけんじ、陣内智則らがいる。NSC在学中にケンドーコバヤシと「松口VS小林」を結成。1995年に解散後、大上邦博と「ハリガネロック」を結成、「ABCお笑い新人グランプリ」など賞レースを席巻。その後も「第1回M-1グランプリ」準優勝、「第4回爆笑オンエアバトル チャンピオン大会」優勝などの実績を重ねるが、2014年にコンビを解散。著書『芸人迷子

芸人迷子

島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。

⇒試し読みも出来る! ユウキロック著『芸人迷子』特設サイト(http://www.fusosha.co.jp/special/geininmaigo/)

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