コロナ禍で増えた“名ばかり”正社員「収入も休みも減ったのに責任ばかり負わされる」
「正社員の数は増えた」
一部の政治家が、自身の功績とばかりにテレビや新聞でアピールしているが、実際にそう実感している人はいかほどだろうか。多くの人が「そんなことはない」と口を揃えるかもしれないが、総務省の労働力調査でも、コロナ禍において「非正規」が減り、「正規」の従業員数が増えている、というデータが確かにある(令和3年11月30日発表の基本集計)。
しかし、実情はどうか。「こんなはずじゃなかった!」と感じている人も少なくない。
「確かに、私もコロナ禍で正社員にはなりました。以前は非正規の派遣社員でしたから」
1年前に、やっとのことで「正社員」の仕事に就くことになった神奈川県在住の通販関連会社勤務・本間孝之さん(仮名・30代)だが、その顔は曇ったままだ。
「正社員と言っても、孫会社の正社員で、ボーナスなどはありません。親会社社員の給与と比べたら半分……いや、3分の1程度。派遣のときは残業をすれば残業代がついたので、収入は減りました。年収は、だいたい300万円くらいでしょう」(本間さん)
派遣社員時代の時給は1300円ほど。残業をこなせば時給は1700円近くにまで跳ね上がり、やればやるほど儲かった。それでも、やはり「正社員」という安定した立場は魅力的。
これまでは年金や各種保険料まで自身で支払わなければならず、そうした煩わしさも正社員になることで全て解決する、そう考えていたのだ。
「会社には、私と同じような“名ばかり”正社員がかなりいます。コロナで仕事を失ったりして、なんとか正社員になりたいと応募してきた方々です。バイトしていたほうが収入が良かった、という人もザラにいますが、対外的にも正社員というほうが聞こえもいいですから、我慢してやっている感じです。他にアテもないので」(同)
コロナ禍で増えた“名ばかり”正社員の実態
対外的に聞こえがいいだけでデメリットだらけに感じる
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新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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