震災報道には理屈よりも現場感に好感
―[震災記事[ベスト&ワースト]大賞]―
◆震災記事[ベスト&ワースト]大賞【6】
『AERA』から『アサ芸』『東スポ』までスゴい記事&バカ報道を総まくり
「放射能がくる」の表紙がヒンシュクを買った『AERA』、「煽らない」を売り文句にしていた『週刊ポスト』など、いろいろあった震災報道。あれから4か月が経った今、日本社会の混乱ぶりを振り返る意味も込め、6人の目利きにベスト&ワールド記事を選んでもらった
理屈よりも現場感。
そういう記事が読み
たいし作りたいですね
【選者】久田将義
『ダークサイドJAPAN』などの雑誌を数多く手がけ、現在は『実話ナックルズ』発行人を務める久田将義さん。編集者の立場から「これはよく取材したなと思います」と、まず挙げたのは「防護服の背中に書かれた『御国の為にがんばりやす』」(『週刊新潮』5/26号)だ。
「原発作業の実態ルポですが、この人をよくつかまえたな、と。僕も今、別の原発労働者と連絡取ってるんですが、過酷な現場の様子がわかる。こういう人たちの声こそ伝えなきゃいけない。写真もインパクトありますし、地道に取材した、いい記事だと思います」
同様に「原発マネーに群がった政治家・学者・マスコミ」(『週刊現代』5/21号)も「週現だって多少はスネに傷あるでしょうに、あえてやったのは意義がある」と評価。また、震災が暴力団関係者に与えた影響と被災地への救援活動を報じた「その時ヤクザはこう動いた!」(『アサヒ芸能』3/31号)もベストに選出された。
「さすがアサ芸というか、アサ芸が報じるから意味がある、みたいな。タイトルもいいですよね(笑)」
ほかにも『週刊プレイボーイ』や小誌の記事は「全体的に好感持ってます」という久田さん。
「アサ芸にしろ週プレにしろSPA!にしろ、上からモノを見るんじゃなくて、斜め下からというか地を這いながら見てる感じが好きですね。理屈よりも現場感。そういう記事が読みたいし、自分もそういう記事を作りたいなと」
◆ベスト記事
「防護服の背中に書かれた『御国の為にがんばりやす』」(『週刊新潮』5/26号)
「原発マネーに群がった政治家・学者・マスコミ」(『週刊現代』5/21号)
「その時ヤクザはこう動いた!」(『アサヒ芸能』3/31号)
そんな久田さんが選ぶワーストは「全土消滅 昭和消滅 神様消滅 独立独歩」と題した藤原新也の写真ルポ(『AERA』4/11号)。
「“コレ絵的にいいんじゃね?”って撮っちゃった、みたいな感じ。そうじゃないでしょ、と。ここで人が死んでるわけじゃないですか。しかも、変な詩みたいなのが添えられてて。意味わかりませんね」
報道じゃなくて芸術なのかも!?
◆ワースト記事
「全土消滅 昭和消滅 神様消滅 独立独歩」(『AERA』4/11号)
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