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荻上チキが選ぶ震災記事ベスト&ワースト

◆震災記事[ベスト&ワースト]大賞【5】

『AERA』から『アサ芸』『東スポ』までスゴい記事&バカ報道を総まくり

「放射能がくる」の表紙がヒンシュクを買った『AERA』、「煽らない」を売り文句にしていた『週刊ポスト』など、いろいろあった震災報道。あれから4か月が経った今、日本社会の混乱ぶりを振り返る意味も込め、6人の目利きにベスト&ワールド記事を選んでもらった

荻上チキ

81年生まれ。評論家・編集者。メルマガ『αシノドス』編集長。近著に『検証 東日本大震災の流言・デマ』(光文社新書)など。小誌連載『週刊チキーーダ!』でも活躍中

◆戦犯探しをするような『週刊金曜日』の記事は醜悪でしたね

【選者】荻上チキ

雑誌は後出しジャンケンのメディア」と語るのは、小誌連載でもおなじみの評論家・荻上チキさん。

「速報性でテレビなどに劣るぶん、ほかで取り上げなかったり、相手にされないようなネタを掘り起こしてきて、後出しで勝ちに行くのが雑誌のスタイル。ユニークでひねりを効かせた企画が雑誌の醍醐味であり、雑誌にしかできない切り口って確実にあると思う」

 そのような観点で選ばれたのが、ベストに挙げた3本の記事だ。

『渋谷に原発!?』(『週刊ポスト』4/8号)は地震直後で正しい情報が判然としない時期に、海外のデタラメな報道内容から“人の振り見て我が振り直せ”的な視点を持ち込んだ点を評価したいです」

 また『アサヒ芸能』など実話誌のアウトロー&エロ目線企画は面白い記事が多かった、と指摘。

「単なる煽りや美談で落とし込まず、下世話ながらも被災地の実情や震災報道のいびつさを浮き彫りにしてくれたのが、たとえばアサ芸の『「被災者の性」を新聞・TVはなぜ報じない!』(4/28号)といった記事。論点や証言の多様性を確保するという点でも実話誌はとても有意義でした。それに、世間の自粛ムードに屈さず従来どおりの方向性で勝負し続ける姿勢に、読者もホッとしたのでは(笑)」

◆ベスト記事
渋谷に原発!?」(『週刊ポスト』4/8号)
『被災地の性』を新聞・TVはなぜ報じない!」(『アサヒ芸能』4/28号)
盲人たちの『2011.3.11』」(『AERA』4/25号)

『週刊ポスト』4/8号

『週刊ポスト』4/8号より。海外メディアでのお粗末な事実誤認や過剰なデマ報道を紹介する


『週刊金曜日』4/15号

『週刊金曜日』4/15号より。原発PRに関わった著名人を批判。妙に細かい「ブラックリスト」も



 一方、ワーストに挙げられたのが『週刊金曜日』の「原発文化人25人への論告求刑」(4/15号)。

「とりあえず、醜悪の一言。“原発を批判しないヤツは非国民”“原発に関わったタレントはブラックリスト”みたいな、戦犯探しやアカ狩りのようなゼロワンな思考、善悪二元論で収拾するようなやり口では、“原発事故以前”から何も学べてない。責任論と原因論を分けて、“二度と繰り返さない”ためには何が必要かという、エビデンスに基づいた具体的な要求を提示することこそが重要なのに。これは“ダメな後出し”の見本ですね」

◆ワースト記事
原発文化人25人への論告求刑」(『週刊金曜日』4/15号)

週刊金曜日4/15号

『週刊金曜日』4/15号より。原発PRに関わった著名人を批判。妙に細かい「ブラックリスト」も





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