「オミクロン株は重症化しない、死なない」は本当か?
フランス、英国、合衆国、南ア、日本、インドネシアにおける百万人あたり日毎死亡者数(ppm 7日移動平均 線形)2021/11/1〜2022/1/10
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次に死亡統計を見ます。ο株は、そんなに重症化しない、死ぬことはないという裏付けのない風聞をパニックに陥った米英の保健当局者が発言してきた為もあって「ο株はたいしたことない」という風評が定着してしまいました。しかしこれには
科学的に誤ったものや根拠の乏しいものが多いです。
ο株Surgeでは、重症者=入院者の率はδ株Surgeに比して1/2〜1/3になっている可能性があります。これはο株の病原性が弱くなったためなのか、第一世代COVID-19ワクチンの接種率が高く、英米では3rd-Shot(「ブースター」と呼ばれている)も急速に進んでいるためなのかがまだ分かっていません。
さらに死亡者に至っては、漸く初期の感染者の死亡が統計に表れているに過ぎず、まだ殆ど見えていません。ο株Surgeでは、その急峻且つ巨大なSurgeの為に保健医療が圧倒され、BBC報道中での解説によると英国では、新規感染者統計に死亡統計は35日と大きく遅行しているとされています。
実際、南ア、英国に続き合衆国でも入院者が激増しており、特に子供の重症化が目立ちます。加えて死亡者の急増が1/6から見えています。但し死亡者の増加については、まだ12月初めのδ株感染者によるものであり、ο株による死者はこれから現れます。
ο株による入院「率」は、確かにδ株の1/2〜1/3とみられますが、感染者数が国や地域によってはδ株の10倍に達する勢いであり、既に米英では医療が限界に達しつつあります。仮に個人にとっては、ややマシであったとしても社会にとっては保健医療と社会そのものへの圧力がδ株と同等かそれ以上となり、大きな脅威です。
フランス、英国、合衆国、南ア、日本、インドネシアにおけるο株の割合(%)2021/11/1〜2022/1/5
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フランス、英国、合衆国、南ア、日本、インドネシアにおけるδ株の割合(%)2021/11/1〜2022/1/5
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次に各国のゲノムサーベイランスについて統計を見ます。ゲノムサーベイランスの確定値が出るまでには本邦ではおよそ8週間前後を要しますので、現時点では、暫定速報値ですがο株とδ株の占める割合が報告されています。南アでは11月中旬にο株がドミナントになったと考えられます。
米英欧では、クリスマス前からクリスマスにかけてο株がドミナントになったと考えられます。δ株Surge以降、似た推移を示している謎々効果(Factor X)覆域*でのδ株対応大失敗国である本邦、インド、インドネシアでは年末年始にかけてο株がドミナントになったと考えられます。
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COVIDー19、感染拡大! 日本の統計がすでに破綻している、これだけの理由2021/8/18牧田寛 日刊SPA!:一部修正があり、δ株Surgeでの観測結果から、謎々効果によるSurgeの抑制は、日毎新規感染者数100ppmを超えても存在し、概ね1/10程度にSurgeの規模を抑えていると評価している>
次に本邦の統計を見ましょう。ο株Surgeは、本邦の空港検疫には大穴が空いているという世界で本邦のみの致命的欠陥*から主として成田、羽田、中部国際、関西各空港から市中へο株感染者が流れ込んでいます。
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東京五輪ウガンダ選手団から陽性者続出。日本の空港検疫はどうなっているのか? 2021/06/25 牧田寛 日刊SPA!>
加えてο株Surgeでは、在日米兵による持ち込みが市中感染を広げ、沖縄、山口、広島で先行して大きなSurgeが発生しています。
日本全体における日毎新規感染者数、死亡者数の推移(ppm) 〜2022/01/13/新規感染者数(青)と死亡者数(黄)は片対数(左軸)/新規感染者数の7日変化率(赤)14日変化率(灰)は、線形(右軸)/NHK集計データより 牧田作成
日本全体では、クリスマス前後からδ株Surgeがο株Surgeに入れ替わり日毎新規感染者数が激増しています。連休効果で最新統計が過小評価となっていますが、既に67ppmを超える日毎新規感染者数となっており、大きな介入がない限り今週中に100ppmを超えてδ株Surgeの最大値を超えると予測されます。
日本全体では倍加時間(感染者数が2倍になる時間)が2日未満と、δ株Surgeの10倍の増加速度となっています。この急激な立ち上がりを筆者は「コブラヘッド」と表現しています。現在、47都道府県全てでコブラヘッドが現れています。
沖縄県における日毎新規感染者数、死亡者数の推移(ppm) 〜2022/01/13 /新規感染者数(青)と死亡者数(黄)は片対数(左軸)/新規感染者数の7日変化率(赤)14日変化率(灰)は、線形(右軸)/NHK集計データより 牧田作成
沖縄県では、12/20頃からδ株Surgeがο株Surgeに入れ替わり日毎新規感染者数が激増しています。連休効果で最新統計が過小評価となっていますが、既に1000ppmを超える日毎新規感染者数となっており、既にδ株Surgeの最大値の二倍となっています。
沖縄県では倍加時間(感染者数が2倍になる時間)が2日未満と、δ株Surgeの10倍の増加速度となっています。
沖縄県では、今後10〜14日で極大値となり、減衰に向かうと予想されますが、困ったことに1/9以降、検査飽和、統計崩壊が始まっており*、すでに1/9以降の統計はそれ以前の統計より大幅な過小評価になっていると考えられます。δ株Surgeでも極大値の2〜3週間前に厚生労働省が検査抑制の号令をかけるまでに追い込まれ、8月1日に全国で統計が壊れました。統計が壊れると現状把握と短期予測すら困難になります。これが第3波以降毎回繰り返されています。
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那覇市保健所の疫学調査 業務ひっ迫で9日から一部取りやめ2022/0109 NHK沖縄>
結果、沖縄では悲観的には再来週までに10000ppm(1%)越えもあり得ましたが、この先実態は見えなくなっています。勿論、さすがにそこまで無茶な数値は出ないとも考えられ、精々数千ppmで飽和する可能性が高いと考えています。これも統計崩壊で見えなくなります。
広島県における日毎新規感染者数、死亡者数の推移(ppm) 〜2022/01/13 /新規感染者数(青)と死亡者数(黄)は片対数(左軸)/新規感染者数の7日変化率(赤)14日変化率(灰)は、線形(右軸)/NHK集計データより 牧田作成
広島県では、12月に入り検査不足で検出下限が3ppm程度と高すぎるために実態が見えなくなっていましたが、12/22頃から倍加日数2日未満のο株Surgeが始まりました。1/10現在で300ppm近くになっており、δ株Surge(第5波)の最大値を上回っています。このまま介入が無く、検査が飽和しなければ今週中に500〜1000ppmを超えると考えられます。
広島県でも倍加時間が2日未満と、δ株Surgeの10倍の増加速度となっています。
東京都における日毎新規感染者数、死亡者数の推移(ppm) 〜2022/01/13/新規感染者数(青)と死亡者数(黄)は片対数(左軸)/新規感染者数の7日変化率(赤)14日変化率(灰)は、線形(右軸)/NHK集計データより 牧田作成
東京都では、12月20日から30日の間にδ株Surgeからο株Surgeに移行したと考えられます。
1月9日現在、東京都では日毎新規感染者数が87ppmであり、倍加時間は、2日未満です。従って、このまま介入が無く、検査が飽和しなければ来週中に200〜1000ppmを超えると考えられます。
東京都でも倍加時間が2日未満と、δ株Surgeの10倍の増加速度となっています。
宮城県における日毎新規感染者数、死亡者数の推移(ppm) 〜2022/01/13/新規感染者数(青)と死亡者数(黄)は片対数(左軸)/新規感染者数の7日変化率(赤)14日変化率(灰)は、線形(右軸)/NHK集計データより 牧田作成
東北と北陸は、日本国内でο株Surgeの立ち上がりが遅い地域です。
宮城県はその中でも最も遅くο株Surgeが始まった県で、1/2にο株Surgeが立ち上がっています。宮城県は、連休中の検査不足もあって筆者は1/8現在の13ppmを採用して評価しています。この値は、沖縄県の1/100です。
宮城県も倍加時間が2日未満であり、このまま介入が無く、検査が飽和しなければ再来週に100〜500ppmを超えると考えられます。その後、2月初めに極大値となって減衰すると考えられます。