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東京五輪ウガンダ選手団から陽性者続出。日本の空港検疫はどうなっているのか?

オリンピック選手団から陽性者検出

 筆者が、八月中旬刊行予定の単行本原稿の大詰めでヒィヒィ言っているさなかに、興味深い報道*がありました。 〈*東京五輪のウガンダ選手団、1人が陽性 来日選手で初 2021/06/21 BBC
空港検疫

写真はイメージです

 報道によると次のことが分かります。 ・到着日 2021/06/19 ・到着空港 成田空港 ・ウガンダ選手団9人 ・搭乗96時間前2回PCR検査陰性 ・全員アストラゼネカ製ワクチン接種完了 ・1名が抗原定量検査で判定不能*のためPCR検査をしたところ検査陽性、隔離 ・8名はバスにて泉佐野市の事前キャンプ宿泊所へ移動 ・航空機内はほかに一般客80名 ・後日、選手全員を濃厚接触者と判定 ・2021/06/22採取検体で8名のうち1名がPCR検査で陽性判定** 〈*陰性でも陽性でもない結果〉 〈**【速報】ウガンダ選手団でさらに1人がコロナ感染 入国後に成田空港から大阪に移動 2021/06/23 MBS〉  本稿では、この入国検疫で何が起きているのかを分かっている範囲で解説します。なお、本稿執筆中に2021/06/22採取の検体によって検疫での抗原定量検査陰性であったウガンダ人選手の1人がPCR検査で陽性反応を示したことが報じられています*。

入国検疫を難しくするCOVID-19二つの特徴

 入国検疫においてCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)感染者がすりぬける原因として二つの特有の性質があります。これは市中感染が広がりやすい原因ともなっており、把握していなければならないことです。  ここから先は、COVID-19の症状と検査への反応の経時変化を見ながら説明を読むとわかりやすいです。
COVID-19の症状と検査への反応の経時変化

COVID-19の症状と検査への反応の経時変化(David Liu, Harvard Univ., 2020/06/11 邦訳 川上浩一, 国立遺伝学研究所

 入国者に対する検疫検査には、COVID-19特有の大きな二つの問題があります。 1) PCR検査に限らず、あらゆる検査手法で、感染直後72時間の不感期間がある 2)不感期間の次に、不顕性感染かつ感染力を持つ時間が48時間ほどある。とくに発症前24時間は、最高の感染力を持つ可能性がある  まず、搭乗72時間前PCR検査は、そこで感染能力を持つ人を発見する為に行います。PCR検査ならほぼ確実にその時点で感染力を持つ人を発見できます。  この時点で感染後平均72時間以内の不感期間の人は検出できません。検査後に感染した人も検出できせん。もともとこの搭乗前72時間以内のPCR検査は、航空会社が機内感染を抑止する為に始めています。各国の検疫では、この搭乗前PCR検査を活用してきました。  その後、出発空港で搭乗する頃に搭乗前PCR検査陰性で、実は感染・不感期間だった人間は、そろそろ感染力を持ち且つ不顕性である期間に入ります。また空港には搭乗しない人もいるのでその人達の中に不顕性感染者が存在する可能性もあります。  搭乗後、国際線では長ければ12時間から24時間機内にいます。また途中乗り継ぎや途中降機(トランジット)がある場合は、二日にわたる移動もあり得ます。  機内と空港で不顕性感染者でありかつ、発症直前の人や、発症したひとは既に存在し得てこの人達は他人に感染させる能力が最大の場合もあります。これがCIVID-19特有の感染防止が難しいところです。  そして出発空港と機内で感染した人たちは、目的地への到着時にその殆どが不顕性感染者で、しかも不感期間です。  さて飛行機が成田、関西、中部、羽田に到着します。  降機後まずサーモグラフィ検査が行われていますが、既に発症した人を検出できる可能性があります。既に発症した人は、その多くが搭乗前PCR検査の直前に感染した人たちです。
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空港検疫における「日本固有の問題」とは
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まきた ひろし●Twitter ID:@BB45_Colorado。著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題について、そして2020年4月からは新型コロナウィルス・パンデミックについてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中

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