ニュース

京大卒芸人が投じた「学歴至上主義への嫌気」ツイートの真意。本人を直撃

学歴至上主義について思うこと

京都大学在学中の九月さん

しかし、実社会ではいまだに学歴は重要なファクターとして扱われることは事実である。 2021年12月にはマイナビが「大東亜以下」と題したメールを誤送信して大きな話題にもなった。就活、婚活などでも学歴は個人の「価値」を測る指標として使われてしまっており、「何者かになる、何者かとして扱われる」ための現実的な手段として機能している。 そのような社会的風潮の中、九月さん自身、京大卒芸人として扱われることに関し、どう思っているのだろうか。 「だんだん邪魔になってきてますね。自由に生きるための説得材料というか、パスポートとして学歴を手に入れたんですが、実際に芸人になると『京大の人』になってしまう。学歴を持った人間としてはレッテルを貼られ、それに沿う発言や行動を暗に強いられるんです。もちろん、そういったラベリングがプラスになることもありますが、活動の支障となることもあるわけで。やっぱり、そもそもどこかナンセンスだとも思うんですよね」

学歴は“指標”でしかない

「学歴は指標として扱いやすいのはわかりますが、18歳かそこらで教科書の内容をどこまでテストで再現できるかなんて、大人になって全然関係ないですよ。実際の人となりや能力は別の話ですから。ただその一方で、何を学んできたかは価値があると思います。何に関心があり、何を自分のものにしてきたかは財産です」 学歴に対する執着が、実際に人を傷つける事件にまで発展する。九月さんはその背景にある風潮に対してもやりきれない思いを持っているようだ。 「東大の事件を聞いたときは、犯人の子に対しても社会的な風潮に対しても『やめてくれよ、そういうんじゃないよ。そこまで大したもんじゃないよ』と思いました。凝り固まった価値観をときほぐすチャンスはいくらでもあったと思うんです。でも、『〇〇大学以下は馬鹿だ、人間じゃない』なんてことを言う人が確かにいますよね。今回の子は有名進学校の高校二年生ということで、まだ受験生ですらない。『その大学に行けなさそうだ』というだけで生きる意味を失うなんて、そこまでの意味は学歴にはないですよ」
次のページ
レールを外れてもいい
1
2
3
おすすめ記事
ハッシュタグ