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京大卒芸人が投じた「学歴至上主義への嫌気」ツイートの真意。本人を直撃

レールを外れてもいい

オンライン取材時の九月さん

有名大学に進学し、安定した職を得る。そうした「レール」から外れて生きていくことが想像できず、絶望に陥る。新型コロナウイルスの流行やそれに伴う経済苦はもちろんのこと、ここ最近の若者が犯人となった犯罪には、そうした現実に対する固定化した考え方からくる絶望が感じられる。 「レール」から外れたとき、どう自分を定義づけ、保っていけばいいのだろうか。 「僕は研究職に行くのかなと思いきや、方向転換して、気づいたら芸人になってました。養成所にも行ってないし、師匠もいないし、学生お笑いサークルにも入ってません。お笑い芸人のレールにすら乗れていないんですけど、とても楽しいですよ。 周りからの評価とか、ライフコースモデルへの一致に価値をおかなくてもいいんです。何者かになりたいなんて思わなくていいし、誰もがすでに何者かですし。世の中では『0から1を』とか『1を100に』とか言いますけど、僕は0から『あ』を作りたいんです。『あいつなんやねん』とか、『なんでそっちにいくねん』みたいな、一言で表されないものになりたいと思っています。名前のついたものになろうとせず、開き直っていいと思います」

レールから逸れても、全部を次に繋いでいける

そんな九月さんだが、先輩芸人からこんな激励の言葉をもらうという。物事が上手くいかないとき、壁にぶち当たったとき、失敗したとき、彼はよくこの言葉を反芻する。 「お笑いでは全部が『フリ』。オチがついたわけじゃない。先輩にはこんなことをよく言われて、励まされてます。これはお笑いだけの話じゃないです。どんな人間にも年齢分の重みがあって、なにも今人生の結果が出たわけじゃないんです。レールから逸れたりしても、全部を次に繋いでいけるし、それをフリにして、また展開を作っていけます」 過去の重みを抱えて、次へ。今回の犯人の少年についても、罪と向き合い、償い、本当の自分の道を見つけていってほしい。 <取材・文・撮影/大河内光明(@komei_okouchi)>
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