ニュース

熱狂なき北京五輪。厳しすぎるゼロコロナにこだわる当局の思惑とは

―[今週の顔]―
 2月4日、いよいよ北京冬季五輪が開幕――。  思い起こせば、’20年1月、中国・武漢の都市封鎖に始まる新型コロナウイルスと人類の戦い。北京五輪をコロナ克服の象徴としたかった中国政府だが、いまだオミクロン株が流行中で、コロナとの戦いに終わりは見えない。  とはいえ、中国政府の発表では新規感染者数は59人(1月28日)と表面上はコロナ対策の優等生。それなのに五輪チケットの一般販売はなく、パブリックビューイングまで制限するなど、中国のコロナ対策は国内の盛り上がりに水を差しかねないほどの厳しさだ。
北京冬季五輪

河北省・張家口の「国家スキージャンプセンター」。ほぼ人工降雪機により整備。大量の地下水と電力を必要とし、環境への影響が懸念される 写真/時事通信社

なぜゼロコロナにこだわるのか?

 なぜここまでゼロコロナにこだわるのか? 朝日新聞台北支局長を務めたジャーナリストの野嶋剛氏はこう話す。 「中国はワクチン接種と行動制限で、コロナの抑え込みに成功してきた。しかし、どうやらオミクロン株には中国製ワクチンは効きにくいようです。国家の威信をかけた五輪開催中、感染が拡大すれば、『やはり米国産ワクチンを打つべきだった』となってしまう。  そのため、北京とほかの都市との往来を制限するなど、厳しい封じ込め政策をとらざるを得ない。生活に不安を感じる市民にとっては五輪どころではない」

ひとりの天才少女に期待

 そんな暗い空気を吹き払うべく、ひとりの天才少女に期待が高まる。 「アメリカ人の父親と中国人の母親を持つ、18歳のアイリーン・グー(谷愛凌)。フリースタイルスキーの金メダル候補で、モデルとしても活躍し、秋にはスタンフォード大学への進学が決まっている。米国代表の座を捨て、中国代表の道を選んだのも好感され、中国国内で“爆紅”(大ブレイク) 」
次のページ
外交ボイコット、日本選手への影響は?
1
2
週刊SPA!2/8号(2/1発売)

表紙の人/ 伊藤沙莉

電子雑誌版も発売中!
詳細・購入はこちらから
※バックナンバーもいつでも買って、すぐ読める!
おすすめ記事
ハッシュタグ