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観衆たったの100人、係員総出のYMCAなど。今では想像もつかない20年前のパ・リーグ

球場係員のほうが多かった理由

 筆者が数えたのは観客数だけではない。それは「球場係員」である。  日本ハムでは球場係員全員で試合の合間にYMCAを踊る時間が必ずあった。試合観戦の合間に体をほぐしましょうね、という文化で、札幌に移転した今でも続いているのだが、なんとこのYMCAのタイミングで出てきた係員が公式戦の2倍の人数が出てきたのである。  知り合いが係員をしていたので理由を訪ねたところ 「3月に新しいバイトが入ってくることが多いが、いきなり満員の巨人戦から現場に入るのはものすごくキツいから、観客が少ないことが見込まれる今日が『研修日』。日本ハムではYMCAもあるから、先輩が踊る横で見ながら憶えてもらうのもある」  こうして、「観衆100人<いつもの2倍もの球場係員」という図式が出来上がっていたのである。閉鎖している上段席にも係員がいるなど、巨人戦の満員を想定した係員配置にさらに新人バイト君がほぼ全部ついていた状態であったので、明らかに観客よりも係員のほうが上回っていたのである。

YMCAを見るたびにあの日のことを……

 今では考えられない話だが、YMCAが多くの観客を集める北海道の地で今でも行われているのを見るたびに、苦労した当時のパ・リーグによる地道な努力を思い出すのである。 文/佐藤永記
公営競技ライター・Youtuber。近鉄ファンとして全国の遠征観戦費用を稼ぐため、全ての公営競技から勝負レースを絞り込むギャンブラーになる。近鉄球団消滅後、シグナルRightの名前で2010年、全公営競技を解説する生主として話題となり、現在もツイキャスやYoutubeなどで配信活動を継続中。競輪情報サイト「競輪展開予想シート」運営。また、ギャンブラーの視点でプロ野球を数で分析するのが趣味。
Twitter:@signalright
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