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観衆たったの100人、係員総出のYMCAなど。今では想像もつかない20年前のパ・リーグ

20年前のパ・リーグの入場者数

スタジアム コロナによる入場制限でここ2年は満員御礼の試合はあまりないものの、2019年には過去最多ののべ2600万人を1年間で集客した日本プロ野球の観客数。だが、ここまで観客を集められる球団は、ひと昔前では全国中継のある巨人、ないしは巨人と同一リーグの阪神などに限られていた時代がつい最近まであったのである。  観客数が実数発表になったのは2005年だが、コロナによる入場制限がある前でも最小観客数が1万人を割るのはほとんどなくなった。だが、20年前の試合記録を見るとパ・リーグを中心に「3000人」発表の試合がかなり存在した。当時は年間シートですでに売られている座席分を組み込んでいるなどという説明で1000人単位での発表が通例となっており、実際に球場に足を運んだ観客数がそれより下回っているのはよくあることだった。  とはいえ、3000人と発表された試合でも大体1000人以上は入っていた。しかし、これがオープン戦ともなるとさらに悲惨なことになっていた。

東京ドームで観衆100人!? 係員のほうが多かった試合

 それはオープン戦だ。1999年に実際に筆者が足を運んだ東京ドームでの日本ハム対近鉄戦である。記憶が確かならば入場者数の発表は「1000人」であったが、どう考えても100人くらいしか入場していない。  当時、東京ドームでの日本ハム戦は俗にいわれる「タダ券」と呼ばれ、いろいろなところで配られていた。そうしたチケットが金券ショップで「100円」「200円」で売られていたり、東京の地下鉄駅で大幅割引となるクーポン券が各駅に置かれているなど、定価など、あるようでなかった。ただ、その努力もあって逆に数千人程度の観客の試合はなんとか回避し、大体1試合平均1万人前後は集客できていた。  だが、オープン戦はこういった「タダ券」は出回らず、割引クーポンも公式戦のみが対象。つまり、オープン戦は定価で窓口購入する本来正しい購入ルートのみだったのだ。当時、一番安かった外野自由席で1500円。公式戦ならばどこかで無料で手に入ったり、金券ショップで100円だった席がオープン戦では1500円になるのである。  筆者は近鉄の応援のため、その試合を1500円払って観戦、現地にいたわけだが…… ・上段席完全閉鎖 ・売店がほぼすべて営業なし ・売り子ゼロ  と、もはや「ほぼ野球を見るだけの状態」になっていたのである。当時、実際にお客さんの数を数えると、100人程度しか入っていない。翌日新聞を見て観衆1000人と発表されていると知るのだが、実際はさらに少なかったのである。
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観客よりも係員のほうが多い!?
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公営競技ライター・Youtuber。近鉄ファンとして全国の遠征観戦費用を稼ぐため、全ての公営競技から勝負レースを絞り込むギャンブラーになる。近鉄球団消滅後、シグナルRightの名前で2010年、全公営競技を解説する生主として話題となり、現在もツイキャスやYoutubeなどで配信活動を継続中。競輪情報サイト「競輪展開予想シート」運営。また、ギャンブラーの視点でプロ野球を数で分析するのが趣味。
Twitter:@signalright

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