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プロ野球監督の平均在任期間は3.5年。理想の監督年数はあるのだろうか

リーグ優勝しやすいのは就任2年目だが……

 では、監督就任何年目で成績がいちばん良くなるのかを見てみよう。 <監督年数別成績> 1年目 リーグ優勝率10.7%/Aクラス率37.5% 2年目 18.4%/46.9% 3年目 17.9%/43.6% 4年目 13.0%/78.3% 5年目 14.3%/57.1% 6年目以降 30.4%/65.2%  面白いことに、リーグ優勝は2年目がピークでゆるやかに年数を数えると優勝率が下降しているのだが、そのかわりにAクラス率が4年目では78.3%まで跳ね上がっているのである。就任から年数が浅いうちはがむしゃらに優勝という結果を目指し、年数を重ねるごとに日本一を目指すためにCS出場権を大事にするようになる傾向があるのかもしれない。  また、件数が少なくなってきた6年目以降はまとめて集計したが、勝率が一気に30.4%まで跳ね上がっている。これは巨人・原監督による2012-2014年の優勝や、中日・落合監督の2010・2011年、ソフトバンクの秋山監督6年目や工藤監督6年目の優勝と球団や監督が集中している。球団が安定し監督を長期据えられている状況になれば優勝率はグンと跳ね上がるということだろう。  Aクラス率も65.2%と高い数字を維持しているのだが、実はBクラス8件のうち4件が残念ながら2017年と2019-2021年の日本ハムによるBクラスが占めてしまっている。これを除けばもっと数字は跳ね上がっていたことになる。長期政権だった監督がBクラスに沈むと、そこで勇退となるため、日本ハムが例外になってしまったのだ。

監督交代の新基準は2年目、4年目、6年目

 チーム事情もあるのでシンプルな話ではないのは重々承知だが、あくまで平均的・一般的なお話として、プロ野球監督における監督交代のタイミングは3つあるといえよう。 ・2年目で優勝、もしくは優勝争いができなかった場合 ・4年目でAクラス入りができなかった、かつ優勝したことがない場合 ・6年目以降でAクラス入りできなかった場合  この条件で考えると、今年は2年目を迎える監督は横浜・三浦監督、オリックス・中嶋監督、楽天・石井監督がいる。中嶋監督は1年目でリーグ優勝を達成しており、三浦監督と石井監督は優勝かそれに準ずる結果がないと「考えどころ」になってしまう。  4年目の監督には阪神・矢野監督、巨人・原監督、広島・佐々岡監督の3人がいる。原監督は2回優勝し、矢野監督はずっとAクラスをキープしているが、佐々岡監督は4位、5位、4位とそろそろ後がない感じだ。  6年目となったのは西武・辻監督。5年目の低迷は目をつむれるとして、6年以上となるとAクラス以上は「超長期政権」の必須条件だ。  ビッグボス効果もあって1年目の新人監督に注目が集まりがちではあるが、来季以降も監督を任せられるかのポイントとなってきた上記監督たちの結果にも注目したいところだ。 文/佐藤永記
公営競技ライター・Youtuber。近鉄ファンとして全国の遠征観戦費用を稼ぐため、全ての公営競技から勝負レースを絞り込むギャンブラーになる。近鉄球団消滅後、シグナルRightの名前で2010年、全公営競技を解説する生主として話題となり、現在もツイキャスやYoutubeなどで配信活動を継続中。競輪情報サイト「競輪展開予想シート」運営。また、ギャンブラーの視点でプロ野球を数で分析するのが趣味。
Twitter:@signalright
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