お金

誰も教えてくれない「お金」の使い方。浪費は必ずしも悪いことではない

 税理士業の傍ら、全国の学校で「お金の授業」を行っている税理士の大河内薫氏。4月から高校の家庭科でも資産形成の授業が始まるなど、「お金の教育」に注目が集まるなか、その先駆けともいえる取り組みだ。短期連載の2回目は、実際の授業内容や生徒たちのリアルな反応を伝えてもらう。

お金とは道具である

大河内薫

大河内薫氏

 こんにちは! 税理士の大河内薫です。僕の人生をかけての目標は「お金の教育を義務教育に導入すること」です。お金は毎日使うものなのに、今の日本では正しく学ぶ機会がないまま大人になってしまいます。僕もYouTubeで税金や投資などお金について発信をしていますが、それだけでは根本的な解決にはなりません。  だから僕は、これまで15回ほど全国の学校を訪れて、「お金の授業」を行ってきました。多いときは100人ほどの生徒が参加してくれますが、今はコロナ禍なのでオンライン授業も行っています。僕が授業をする対象は、小学校高学年から高校生までさまざまです。  年齢差が大きいので、最初は「相手によって授業のレベルを変えるべきか?」と悩みました。ただ、冷静に考えると、お金のことを学んでこなかったという意味では、差などないんですよね。子供から大人まで、誰もが「お金の基礎教育」を受けないまま成長しています。だから、どんな年齢の生徒でも僕は同じ話題から授業をスタートさせています。それが、「お金とは道具である」ということです。

誰も使い方を教えてくれない。だから自分で使い方を学ぶしかない

 僕は授業で、「お金とはハサミと一緒で、単なる道具です」と伝えます。ハサミはモノを切るための道具です。手でちぎるよりも簡単に紙を切れる半面、使い方次第では人を傷つけることもあります。  お金も同じです。家族を養える半面、人を騙して大金を手にすることもできる。ハサミもお金も、その良しあしを決めるのは、あくまで使う「人」です。道具であるお金自体に、いいも悪いもない。そのことをまず生徒には頭に入れてもらいます。  そして、「お金とは生きるうえで絶対に必要な道具」とも教えます。なぜなら、お金は唯一、何とでも交換可能な道具だからです。僕たちは、生きるために衣食住が必要です。物々交換や他者から恵んでもらう手もありますが、毎日できるとは限らない。確実に食べ物を得られる道具は、今のところお金しかない。好きかどうかは別として、「世の中はそうなっている」と、子供たちに伝えたいのです。  しかし、お金という道具には足りないものがあります。それは「取扱説明書」です。例えば家電製品には、説明書がありますよね? それなのに生きるためには絶対に必要なお金には説明書がないし、誰も使い方を教えてくれない。だから自分で使い方を学ぶしかない。このようなマインドセットを伝えていると、授業の前半は、あっという間に時間が過ぎてしまいます。
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生きるために必要な道具をどう「集めて/使う」か?
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’83年生まれ。’17年に独立。YouTube「大河内薫のマネリテ学園」ほかメディア運営多数。8.2万部突破の最新作『貯金すらまともにできていませんが この先ずっとお金に困らない方法を教えてください!』が発売中

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