お金

誰も教えてくれない「お金」の使い方。浪費は必ずしも悪いことではない

生きるために必要な道具をどう「集めて/使う」か?

 続いて、授業の後半では道具であるお金を「どう集めて、どう使うのか」を生徒と考えていきます。  どう集めるのかとは、「稼ぐ」ことです。「道具を集める」と考えれば、稼ぐための選択肢のイメージが広がります。働いて給料をもらうだけが集める手段なのか? アルバイト代が足りなければメルカリで要らないものと交換してもいいし、ウーバーイーツで稼いだっていい。「会社に勤めて給料をもらうだけが道具を集める手段ではない」と知っていれば、大人になってからも柔軟に働き方を選べます。  そして、道具ですから、そこまでたくさん必要がないなら、ことさら多く持たなくてもいいのです。なぜなら、道具は手に入れることがゴールではなく、「使う」ことがゴールだからです。最新のスマホだって、手に入れてもLINEしか使わなければ意味がありません。

3つのお金の使い方

 授業では、お金には3つの使い方があると伝えます。「消費・浪費・投資」です。消費は生きるための支出であり、生活費です。浪費はいわゆる贅沢品や遊興費で、投資はお金を使ったことで将来に利益をもたらすものです。よく「浪費はダメ」と言われますが、浪費をまったくしない人生ほどあじけないものはありません。この3つはすべて大事です。だから、「3つのバランスが大切」と伝えます。  そして、授業では生徒たちに最近買ったものを3つに分類しながら数人で話し合ってもらいます。自分の生活とお金がダイレクトに結びつき、当事者意識が芽生えていく。そう考えているからです。  以前、授業を行った定時制高校には、クリエイターを目指している女子生徒がいました。彼女の家庭は経済的には裕福ではなく、自分で貯金をしてパソコンを買ったそうです。彼女は「これは将来の投資だったんですね。高かったけど、正しいお金の使い方だったと確信ができた」と話してくれました。人生の早い段階でお金の使い方を意識する大切さを、改めて教えてもらったひとコマでした。
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一授業45分でできるのは「考える土台」を築くこと
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’83年生まれ。’17年に独立。YouTube「大河内薫のマネリテ学園」ほかメディア運営多数。8.2万部突破の最新作『貯金すらまともにできていませんが この先ずっとお金に困らない方法を教えてください!』が発売中

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