「いちばんの課題は体質の古さや非常にマッチョなところ。上の人が言うと、下の人が黙ってしまう」 　6月3日、日本大学の次期理事長就任が決まった作家の林真理子氏は記者団を前に改革への抱負を語ったが――。アメフト部の悪質タックル事件をはじめ、田中英寿前理事長の所得税法違反など不祥事が相次いだ日大が抱える問題は山積だ。大学ジャーナリストの石渡嶺司氏が語る。 「理事長候補だった元文科省OBや政治家、他大学の学長経験者たちはみな日大の体質は変えられないだろうと固辞した。そんななか、日芸（芸術学部）出身の林さんは悪質タックル事件のときから週刊誌のコラムで『ガバナンス全くなしオヤジばかりのオレ様主義の学校をオバさんの力で何とか変えてみたい』と母校の改革に強い意欲を示してきた。 　日大にとっては初の女性理事長でイメージの一新につながるので、まさに渡りに船だった」 　大学経営は未経験の林氏の手腕を不安視する声も聞かれるが、改革成功のカギを握るのは“補佐役”だという。 「田中前理事長は有罪判決後も大学施設を訪れるなど、いまだ影響力を排除できていない。教職員のなかには“隠れ田中派”も残っているなか、人選を誤れば大変なことになる。林さんには驚くような人を理事に起用してもらいたい。 　同じ日芸出身には爆笑問題の太田光さん、田中裕二さんをはじめ錚々たる人材がいる。ただ日大はキャンパスごとに独立しており、単科大学の寄り合いみたいな複雑怪奇なマンモス大学。改革するには日大を一つにまとめなければならない」（石渡氏）