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SKE48・松本慈子「仲良しこよしのチームを変えたい」リーダーの悪戦苦闘

素直に助言を受け止め、「変わろう」と必死になった

 必死に汗を流し、ときに上手くいかない悔しさから涙を流し……。 「この2ヶ月間のレッスンで、チームSが一皮も二皮もむけたと言えるくらい、濃密な時間だった」と松本さんは振り返る。 「それまでのチームSは仲良しこよしの状態で、アンナ先生の厳しい指導を受けたことで、いかにプロ意識がなく甘かったのかを痛感させられたんです。専用の劇場を持たせてもらい、公演をやらせてもらうことが、アイドルにとってものすごい幸せなことなんだと、あらためて感じるようになりました。  良かったのは、チームSのメンバー全員が素直で、アンナ先生に反発することなく教えを受け入れたことでした。中途半端な気持ちでやるのではなく、野心を持って本気で臨むためにチームSのメンバーと意見を出し合い、ときにはぶつかり、傷つくこともありました。それでも、オリジナル公演を自分たちの手で必ず成功させようと、次第に気持ちがひとつになっていき、少しずつ本当の意味でのプロ意識が生まれてきたと思っています」

ダンスや歌はもとより、気持ちを上げることが苦労した

 牧野氏の指導によって、チームSのメンバーが成長していくなか、松本さんは自身がヒロイン役を務める舞台『キャッシュ・オン・デリバリー』の稽古と重なり、オリジナル公演の練習になかなか時間が割けなかったそうだ。 「他のメンバーはレッスン場で意識や姿勢が変わった一方、私は劇場へ入ってから変わった」と松本さんは話す。 「ダンスや歌も、私が離れている間にみんなすごく上達していて。なんとか追いつこうと、焦りを感じながら本番まで残り少ない練習期間を過ごしていました。特に“気持ちを上げる”のが苦戦しましたね。いくら楽しそうに歌って踊ったとしても、気持ちがファンの方へ届かなければ感動を与えられない。アンナ先生からは『プロスポーツ選手のルーティンのように気持ちを高める方法を見つけなさい』と言われるんですが、なかなか答えが見つからなくて。  リーダーとしてどうすればみんなの気持ちを鼓舞できるか。士気を高められるか考え、行動に移していきました。結局、今回の公演における出来栄えについて、アンナ先生からは最後まで納得感をもらえておらず、本番直前まで不安でいっぱいでした。  でも、円陣が終わって、いざ本番が始まろうとしたときにアンナ先生が楽屋に入ってきてくれ、激励の言葉をかけてくれたんです。その瞬間、今までの苦労がよぎってきて、メンバー揃って号泣しましたね」
愛を君に、愛を僕に

オリジナル公演『愛を君に、愛を僕に』の「全額返金保証公演」でパフォーマンスする松本慈子さん(写真中央) (C)2022 Zest, Inc.

 一から作り上げるオリジナル公演の大変さや過酷さ。そして、エンタメとして昇華させるための血の滲むような努力。  まさに、これらを身を持って体験したチームSのメンバーは、一段と大きく成長したのではないだろうか。
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6人の全額返金という結果を糧に…
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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