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しまむら「円安でも強気賃上げ」のナゾ。弱気が目立つユニクロと何が違う

なぜここまでヒット商品を連発できるのか?

 世の中の相次ぐ商品値上げに対抗するように、今回賃上げに踏み切ったしまむら。好調の背景には商品開発の努力があったことがおわかりいただけたと思います。では最後に、なぜしまむらはここまで商品開発力があるのかを解説しましょう。  一口で言えば、しまむらは徹底的なデータドリブンの会社だからです。  しまむらは、過去の販売データを蓄積してヒット作品を生む確率を高める努力を惜しみません。仮に他社がただ額面通りに受け取り、デザインを模倣し、自社でPBやJBの割合を増やしたとしても、しまむらのように成功する可能性は高くないと筆者は考えます。しまむらの場合、これまでの歴史の中でPBやJBの商品開発を低コストに抑えるノウハウを自社で蓄積しているからです。

増殖するしまむらファン

 それに加えてインフルエンサーとのコラボ、動画広告などによる新規層獲得にも同社は積極的です。この点も売上の底上げにつながっています。 「これ、しまむらで買ったの。見えなくない?」  そんなコミュニケーションが、街中の女子高生から、主婦同士の井戸端会議から、そして先述のプチプラのあやさんのようにインフルエンサーの自発的な発信により生み出されます。これが口コミとして広がることが、しまむらのファンをメタボリックに増殖させている原因なのです。  PB・JPを作る仕組み、蓄積されたデータを分析し効果的に活用できるマーケティング力。この両輪が回っていることがしまむらの強さの根底にあります。しまむらのヒットは「再現性のあるヒット」であり、今後も業績好調が続くという予測は恐らくはその通りになるでしょう。 <文/馬渕磨理子>
経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi
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