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吉高由里子(34)の“無双”はなぜ続く?デビュー時から変わらない吉高像とは

18歳に出演したデビュー作で高評価

紀子の食卓

『紀子の食卓』(DVD ジェネオン エンタテインメント)

 吉高は1988年、東京生まれ。高1だった2004年、上野樹里(36)と同じ芸能関係者から東京・原宿でスカウトされた。  約2年後、18歳だった2006年にデビューする。吹石一恵(39)が主演した映画『紀子の食卓』で、家出する女子高生役だった吹石の妹役だった。やがて吉高の演じる女子高生も家出する。そんな筋書きだった。  映画の評判は高かった。吉高は同年度のヨコハマ映画祭最優秀新人賞を得た。多くは主演級の女優が受賞する賞である。確かに吉高の存在感が際立っていた。多感な時期の不安定な少女を写実的に演じた。  デビュー前に児童劇団などに所属していた訳ではない。才能に恵まれていたのだろう。スポーツなどと同じく、演技の才能も生まれつきある人と乏しい人がいる。

『蛇にピアス』撮影前のアクシデント

 その後、まるでフィクションのような吉高の快進撃が始まる。2008年9月公開の映画『蛇にピアス』の主演のオーディションを受けた。監督は演劇界の巨匠だった故・蜷川幸雄さんで、原作は金原ひとみさん(39)による人気小説だから、女優にとっては魅力的な仕事にほかならない。  映画は序盤からヌードシーンがあったので、吉高はオーディションの過程で蜷川さんに対し、こう尋ねた。 「私、胸小さいけど大丈夫ですか。見ますか?」  そして胸を見せた。後から分かると迷惑が掛かると思ったらしい。当時19歳である。  胸を見せたところが評価された訳ではないだろうが、吉高は合格。主演のルイ役を射止めた。ところが、好事魔多し。撮影前に交通事故に遭ってしまう。  ICU(集中治療室)に入ったくらいだから、生半可なケガではなかった。ここで降板したって不思議ではない。誰も責められない。  だが、吉高は違った。蜷川さんに選んでもらったことへの感謝の気持ちを深め、この撮影への全力投球を決心する。その熱意が実り、この作品で日本アカデミー賞の新人俳優賞を得た。メジャーな女優の仲間入りを果たす。
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デビュー時から変わらぬ吉高像
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放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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