このような質問を考えた結果、僕の学習の効率はどんどん上がっていきました。「わからない」と悩む時間が、代わりに上記のフローを辿る作業時間になったからです。考える時間が無くなったため、逆に勉強の質が上がったのです。 　そうやって勉強をした結果、現役時の夏の東大模試では数学で3点しか取れなかった僕が、なんとか東大の一次試験に通ることができました。二次試験では惜しくも不合格となりましたが、不合格者のランクとしては中くらい。「僕の下に200人ちょっとの不合格者がいる」というところまで登ることができたのです。 　これなら、あと一年で何とかなると確信したので、父と母に頼み込み、浪人を許してもらいました。こうして僕は一浪の末に東大に合格することができたのです。 　この話は、お前だから何とかなったのだろうと言われてしまえばそれまでです。自分にはできない、と考える方がいらっしゃるのも当然ですし、なにより「人間には才能がある」という話を持ち出せば終わってしまいます。 　しかし、僕はこうも思います。頑張って結果が出たか出なかったかにかかわらず、「自分は頑張った」という事実は、成果として残り続けるのではないかと。 　僕の家にお金がないことを知って声をかけてくださる方はたくさんいらっしゃいました。しかし、当たり前ですが、その人たちが僕の面倒を見てくれるわけがありません。溺れる者は藁をもつかむと言いますが、最終的に頼れるのは自分だけです。 　来るか来ないかすら分からない助けを待つなら、自分で行動を起こした方が、何があろうと、よほど悔いなく終われます。そうやって自分で自分の人生を動かすことが、一番大事なことなのではないかと思うのです。 　諦めずに動き続けるコツは、きっとこの意識なのではないかと思います。 1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。（Xアカウント:@Temma_Fusegawa）