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サンリオ、ピューロランド休館も業績好調のナゾ。キャラはかわいいけど骨太の企業体質

海外事業営業赤字でも“けろけろけろっぴ”だった

 構造改革の結果は決算によって示されています。  売上高自体は前期比28.7%の増加ですが、売上総利益は前期比で40.3%増と収益が拡大しています。  この理由について、同社の決算資料を読むと「売上原価率の低減」と明記されています。つまり、内部改革が進行していることを示唆しています。  また中経では2024年末までに国内物販で17億円の利益改善、海外事業では11億円の営業赤字の解消が目標とされています。  これらの目標も最新の決算資料ではいずれも2023年3月期で目標達成見込みと明記されています。  つまり、海外の赤字も解消されるようです。まさに、ケロッとしてるけろけろけろっぴ状態です。  目標から約1年も早く成果が出せている事実に驚いた方も少なくないでしょう。  実はサンリオ、マイメロディのようなファンシーなキャラクターを生み出している一方で、企業としてはかなりしっかりしているのです。  さらに注目したいのはサンリオでは“これから”に目を向けた施策も実施している点です。そして、今それが徐々に実を結びそうな段階に入ってきているのです。

教育+エンタメ=エデュテイメント。サンリオの次の一手とは?

 サンリオの“これから”でまず注目したいのはエデュテイメント事業です。  エデュテイメントとは、エデュケーション(教育)とエンターテインメント(娯楽)を組み合わせた造語で、その言葉通り、遊びと学びが一体化したものを指します。  具体的には0〜8歳を対象に楽しく英語を学ぶことができる「Sanrio English Master」が2023年3月に発売予定となっています。  こちらは体験モニターにすでに1万人が募集するなど注目度も高い事業です。  また、「Sanrio English Master」はただ単にキャラクターを教育に付加しただけではないことも興味深い点です。  東京大学大学院情報学環のメンバーがアドバイザーを務めるなど、学ぶことにもしっかりと重点を置いています。  もし、「Sanrio English Master」が幼児教育のスタンダードとして定着した場合、簡単には揺るがない安定した事業となるでしょう。ハローキティが三人称単数現在形について解説する未来はなかなかワクワクします。  いま、サンリオはその未来を本気で狙っているのです。
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ハローキティを超える人気キャラクターが?
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経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

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