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“ユニクロ潜入取材”の著者がトランプ信者に一年潜入。ノンフィクションの魅力とは

時間をおいて取材すると、まったく違うものが見えてくる

書籍イメージ 実は、小倉氏は20年以上前にも一条さゆりについての本を上梓している。 「僕が知っている一条さんというのは、やけどをして、糖尿病になって体を壊して、生活保護を受けながら、釜ヶ崎の人々にお世話になっていた。だからその時は現役時代の一条さんのことはほとんど取材していないし、書かなかった。  僕が会ったときは晩年で華のないときで、華のあるときの一条さんってどういう人だったんだろうというのがずっと引っかかっていた。今回、その当時の一条さんのことを知っている人に取材すると、まったく違う一条さんが見えてきた。  一条さんはわいせつ罪に問われて裁判をしているんですけど、ちょうど日本のフェミニズムの勃興期と重なっているんです。裁判官たちもみんな男性で、今ではちょっと考えられない。一条さんの人生を軸にすると日本のいびつなものが見えてくる。時間を置いたから気づけたことは多いです」(小倉)  印象的だったのは「いい本は、必ず残る」という横田氏の言葉。時代の試練を経て、それでも読みつがれる本には、何らかの価値が必ずあるということだ。そしてお二人の本も、長く読みつがれることを願う。 (11月3日、東京・下北沢の本屋B&Bにて) 文/神田桂一
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