更新日:2022年12月15日 09:44
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3000万円で建てたマイホームがカビだらけ「モラルなき注文住宅業者の闇」をノゾく

モラルなき営業部隊が原因。顧客データの持ち出し疑惑も

家イメージ こうしたトラブルの背景には何があるのか。前出の不動産業者はこう語る。 「注文住宅の購入において一番大切なのは、どのような家にするかという事前の打ち合わせです。真っ当な業者の場合、設計士が直接客と話し合って、詳細を詰めていくのですが、この業者さん場合、営業マンがこれらの作業をすべてやっているのでしょう。上っ面の知識しかなく、きちんと対応できていない様子がうかがえます。注文住宅なのに客の注文をことごとく『予算的に無理』などと言い訳して、やろうとしないのは典型ですね」  別の住宅メーカーの社員にも話を聞くと、A工務店の体質についてこう語った。 「A工務店の強引な営業手法は業界でも有名です。そもそも営業マンは中途採用が多く、条件のいい歩合をちらつかせて、他社から社員を引き抜いた人員が主。売り上げ至上主義なので、建った後のことよりも目先の数字を優先するのでしょうね。また、退社した会社の顧客情報などを持ち出させたりもしていると、A工務店の関係者に聞いたことがあります」  この話が本当なら、法的にどうなるのか。前出の平山弁護士の見解。 「持ち出した情報が企業の機密情報に当たるかどうかがひとつのポイントになります。厳重なセキュリティ管理のもとで保護された情報を持ち出せば、その人間は不正競争防止法違反となり、刑事罰の対象になる。また仮にA工務店側が引き抜き予定の他社の社員に持ち出しを要求していたとしたら、工務店側も共犯として罰せられる可能性が高い。さらに実際にそのデータを使用したら、それも罰せられます」  こうした「疑惑」にたいしてA工務店側に見解を聞いたが、取材期限までに返答はなかった。

急激な成長の裏で……

 調べてみると、サラリーマンから独立起業したという触れ込みの創業者が、各大手住宅メーカーが注文住宅事業を縮小する中で、創業10年余りで売上数百億円の企業に育て上げたという業歴は驚愕するばかり。  だが、こうした急激な成長の裏ではかならず歪みが生じる。A工務店の営業マンがやたらとネット上で叩かれているのは強引な引き抜きを重ねた“即席組織”による弊害ではないか。  これだけの売上を誇り、住宅業界でも異質な風雲児といわれる同社だが、創業者が表に出てくることはなく、取材対応も拒否とあっては、同社の謎は深まるばかり。  マイホームの購入とは、庶民にとって「一生の買い物」。注文住宅となればなおさらだろう。それを踏みにじるようなA工務店のやり口はけっして許されることではない。 取材・文/根本直樹 写真/shutterstock フォトAC
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