更新日:2023年02月24日 08:59
お金

ポストコロナの高配当株「じっくり仕込みたい3銘柄」をプロが厳選

市場関係者が囁く「日経平均下振れの可能性」

ヤマダ電機 日経平均が2万7000~8000円というレベルは上振れも下振れもありうる微妙なところではないだろうか。2月に入って、いつもは強気の予想ばかりする証券関係者までもが、下振れの可能性に言及している。  それは、アメリカで発表される経済指標、例えば雇用統計やCPI(消費者物価指数)が予想以上に強く、「景気減速からの金利引き下げ」というシナリオを思い描いていた投資家の期待を打ち消すものばかりだからだ。何しろ、2022年3月からFRBはあれだけ金利を引き上げたにも関わらず、アメリカのインフレ率の高さから、まだ実質金利は0%に達するかしないかというレベルなのだ。少なくとも実質金利がプラスになっていかないと、金利引き下げはないだろうと考える市場参加者が過半数ではないだろうか?  このため2023年、年内の米国金利の引き下げという観測は次々と打ち消され、FRBは金利をいつまで上げるのかという視点に重心が移りつつあり、それは金利上げからの株価の下落というシナリオに結びつく。アメリカ株の下落があれば、それは日本株の下落にも直結する。  日本株への弱気観測を強めているのは、そうした米国発のものばかりではない。日本国内のマーケット事情もある。特に今年に入って発表された各企業の決算発表で、予想よりも良かった企業の株価は素直に上がっていくが、逆にネガティブ企業の株価は底堅いのだ。売られず下がらない。この動きは歪と言っていいものだ。

日銀植田総裁で株価はどうなる?

 さらに、4月には10年続いたアベノミクスの体現者、黒田日銀総裁から、植田和男氏に変わることによって、今までの異次元で大規模な、それこそ前例のない金融緩和が、緩やかであったとしても是正されていくだろうという先行きにも、証券市場は穏やかでない。  異様なイールドカーブコントロールもこのまま続けるわけはないだろう。市場では、植田日銀総裁時代に移行する前の3月にも、ポスト黒田時代の動きが出てくるのではないかという人もいる。それは、昨年12月の「10年もの国債金利0.5%」への移行は主に日銀事務方が主導して行ったという流れとも符合する。黒田日銀総裁は、実際に金利が0.5%になったにも関わらず、それを金利引き上げではないと否定していたことも思い出される。  株価が上がっていくのであれば、グロース株で将来性の期待できるものを仕込んでおくことも一つの戦略であろう。いくらグロース株であったとしても、市場全体がネガティブに動いているときに、上がっていくには相当のパワーがいるものだからだ。  下振れの可能性も大いにある市場ではキャピタルゲインよりも、配当性向の高い株式を仕込んでおくことを投資の中心に据えている。そして、前回の記事でも紹介したようなポストコロナの時代に向けて、まだ十分に株価が戻っていない銘柄を選択するのがいいのではないかと考える。前回は非常にわかりやすい旅行関係の銘柄を取り上げたが、この3年間のコロナ禍、そして、2022年からのウクライナ侵攻によって振り回された銘柄は非常に幅広い。 
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いま仕込んでおきたい銘柄は?
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経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『つみたてよりも個別株! 新NISAこの10銘柄を買いなさい!』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』、『安心・安全・確実な投資の教科書』など多数 twitter:@SatoHaruhiko

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