更新日:2023年02月24日 08:59
お金

ポストコロナの高配当株「じっくり仕込みたい3銘柄」をプロが厳選

家電量販店で狙うべき銘柄は?

 例えば、コロナによる巣ごもり需要によって業績が伸びた家電量販店などは、今はその反動で苦しんでいる。2020年は白物家電が非常に売れて、価格全体が押し上げられたうえに、この1年のインフレによって売り上げが厳しい。インフレによって消費者の可処分所得が減れば、真っ先に削られるものの一つが、いますぐ買い換えなくてもいい家電商品なのだ。それも、価格が高いまま張り付いているのであればなおさら消費者は買い控えるだろう。  例えば、ヤマダHD(9831)は、家電全体の売り上げは決してよくなく、株価もコロナ禍で600円をつけたあと、2022年3月には一時期370円ほどまで下がり、その後は持ち直し500円ほどになった。その後は450~480円くらいで取引されている。  この5年ほどのチャートを見ると、400円あたりが底堅い。現在の価格での配当利回りは約4.7%。何しろ単元株100株なので5万円以下で始められるのが買いやすい。  株主優待は500円の株主割引券が年に3枚もらえる。私は、下がったら買い増す方針で460円前後で買いを入れた。  さらに、ヤマダHDの主力事業は家電販売ではあるが、今では住宅や家具なども傘下に収めているので、それらの売り上げもあり、今後金利が上がっていくとすれば、マイホームの建築とそれに伴う家具などの売り上げにも結びつく可能性もある。
ヤマダ電機

ヤマダ電機(9831)株価489円(2月22日時点の終値)

銀行株で伸びしろを感じる銘柄

 次に紹介したいのは、アナリストやAI予想、マーケット参加者からも決して強気の予想が出ていない2社だ。昨年秋以降に、三菱UFJ、三井住友、みずほなどのメガバンクの株価は揃って爆上げした。金利が上がっていくことで銀行業のビジネスチャンスが増えるという思惑がその一因であろう。  そんな中、底堅いもののそれらと比べるとあまりにも株価の反応が薄いメガバンクがある。ゆうちょ銀行(7182)だ。
ゆうちょ銀行(7182)

ゆうちょ銀行(7182)株価1219円(2月22日時点の終値)

 ネットバンクの時代に、日本最大の支店網を持つとはいえ、数々の規制と制限のもとで民営化以来、業務を続けてきた。だから、他の3大メガバンクと比較するのは難しいということもあるけれども、それこそ、長期的な可能性を秘めていると思う。私は、長期的な視点で持ち続け、株価が落ちれば買っていくという方針で投資を続けている。  今の1200円前後の株価で配当利回りが4%を超えるのも、持ち続けている理由の一つだ。  ただ、ゆうちょ銀行だけというのも不安があるので、同じく日本郵政(6178)にも分散投資している。銀行業務だけでなく、かんぽや日本郵便などの元締めであり、何しろ日本国中の一等地に郵便局があり、その多くは有効活用されていない不動産所有者でもある。
日本郵政(6178)

日本郵政(6178)株価1237円(2月22日時点の終値)

 かつてのJRの駅構内が今やデパ地下に負けないショッピングゾーンであり飲食街になっている光景を見ると、中長期的には日本郵政にもその可能性が大いにあると思っているからだ。こちらも、配当利回りは4%を超えるというのもポイントだ。  ちなみに、2月21日現在の株価でのゆうちょ銀行のPBRは0.44、日本郵政などは0.36。私は何もかもうまくいってる会社よりも、伸びしろを感じさせる銘柄の方が好きなのだ。  最後に日本郵政と、ゆうちょ銀行を投資先として考えるときに忘れてはならない情報を付け加えておきたい。それは、2月下旬に、日本郵政が傘下のゆうちょ銀行株の売却を年度内に行う方針と大手メディアが報道したことだ。売却を決めれば、グループ3社が上場した2015年以来のこと。規模も1兆円を超える可能性があり、これは金融株全体の需給にも影響する可能性がある。日本郵政はゆうちょ株を90%近く保有する筆頭株主。これを今回を含めて保有比率を50%程度まで下げていくと言われる。というのも、今は特例扱いだが、ゆうちょ銀行が上場する東京証券取引所、プライム市場の上場要件(流通株式比率35%以上)をクリアするためなのだ。これから年度末にかけて、ゆうちょ銀行、日本郵政に大注目して、買い場を探って欲しい。 ※株式投資はご自分の判断と責任に基づいておこなってください。 <文/佐藤治彦 チャート/googleファイナンス>
経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『つみたてよりも個別株! 新NISAこの10銘柄を買いなさい!』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』、『安心・安全・確実な投資の教科書』など多数 twitter:@SatoHaruhiko
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