「頑張ってるなと思うのは『R-1』の期間だけ」
──ZAZYさんは個人でも1000時間配信などをやってストイックな印象がありますが、その姿勢から影響を受けたりは?
仁木:マジでないですねえ(笑)。
檜原:ZAZYのやっていることを真似したことはないですね。いまは大久保八億という後輩と、僕とZAZYの3人で住んでいるんですよ(取材後の2月25日に卒業)。八億にZAZYが「お笑い頑張らなあかんで」と説教していたことがあって。「もっとがんばらんと。たとえば1000時間配信するとか」って。
──極端すぎるアドバイスを……。
仁木:そういうことじゃないんだよ(笑)。ZAZYが頑張ってるなと思うのは、『R-1』の期間だけですね。単独とかも「間に合わん!」と苦悩してる感じを周りに見せてるけど、あれはあいつが勝手に締め切りまで何もやらなかっただけだし。
──いっぽう、先日のニューヨークのYouTubeでは、仁木さんは平井さんの姿勢にすごく影響を受けたと話していましたね。
仁木:平井はカサグランデでというよりも、芸人の中でも別格だと思います。とにかくずっとネタを書いてるんですよ。
檜原:朝起きたら布団を畳んで1畳くらいのスペースを確保して、壁に立て掛けた折りたたみの机と椅子をそこに広げて。
仁木:ノートを置いたらもう何も置けないくらいの小さすぎる机でね。いちばん悪いことした人が入る刑務所くらいの場所でネタを書いてた(笑)。
──すごいです。
仁木:部屋だけじゃなく、ファミレスでもよくネタを書いていたんですよ。だから一度ひわちゃんと、平井がネタを書いているところに混ぜてもらったんです。そしたらあいつ、2時間くらい考えて、たぶん何も出なくなって、左手でネタを書き出したと思ったら「脳みそを無理やり起こしてんねん」って。むちゃくちゃ怖かった(笑)。
檜原:平井は2019年の12月にやってきて、住んだのは1年くらいなんですよ。2021年に『キングオブコント』の決勝に初めて行くから、まだ売れる前。
仁木:ネタを書きつづける姿を見て、しかもその1年後に『キングオブコント』の決勝に進出したのを目の当たりにして、「結果はちゃんと出るんだ、頑張った分反映されるんだ」とすごく衝撃を受けました。短い期間でしたけど、平井がカサグランデのキーマンであることは間違いないですね。みんなにヒントをたくさん残して去っていきました。
<取材・文/釣木文恵 編集/アライユキコ 撮影/山川修一(扶桑社)>
【檜原洋平(ひわら・ようへい)】
1991年生まれ、大阪府出身。高校時代からコンビを組んで漫才をはじめ、大学在学中にサンストレンジというコンビで活動。卒業後、上京するが2015年に解散。2016年、大鶴肥満とママタルトを結成、サンミュージックに所属。R-1グランプリ2021準決勝進出、M-1グランプリ2022で準決勝進出。レギュラーに『ママタルトのラジオ母ちゃん』(GERA)など。
【仁木恭平(にき・きょうへい)】
1991年生まれ、北海道出身。高校卒業後フリーで活動をはじめ、そうじゃねえだろ、ひみつスナイパー健というコンビを経て2021年ケビンスを結成。それに伴いひみつスナイパー健時代に所属していたサンミュージックから吉本興業へ移籍。R-1グランプリ2021、2022で準決勝進出。また、コンビ結成2年目でM-1グランプリ2022準決勝進出を果たす。2月より『ケビンスの男前放送』(GERA)が期間限定でスタート。
ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。X(旧Twitter):
@troookie