更新日:2023年05月03日 12:49
ニュース

かつては安倍氏、小池氏も。ニコニコ超会議から「政治ブースが消えた」ワケ

ニコ動と政党が「Win-Winの関係性」に

ニコニコ動画は2009年頃から首相会見や大臣会見を生配信するようになり、2012年からは福島第一原発事故で連日のように動向が注視されていた東京電力の記者会見を生配信するようになりました。こうした生配信により、ニコニコ動画にとって政治は重要なコンテンツになったのです。 いまや首相会見や各省庁の大臣会見、東京都知事会見などでインターネット生中継は当たり前になっています。その先鞭をつけたのが、ニコニコ動画と言っても過言ではありません。 他方、政党側にとってもインターネット生中継をしてくれるニコニコ動画はありがたい存在でした。当時も今も、政党の悩みの種は支持者の高齢化と新しい支持者の獲得です。それに試行錯誤していた各政党は、若い支持者を獲得するツールとしてニコニコ動画に飛びつきました。各政党はこぞってニコニコ動画に公式チャンネルを開設。動画配信により身近な政党であることPRし、党勢拡大を目指したのです。

政治家に会うとファンになってしまう?

しかし、それだけでは党勢拡大につながりません。ネットによる情報発信は手軽にできますが、政治を身近に感じてもらう第一歩に過ぎないからです。ネットでは、有権者と政治家が会うことはできません。あくまでも画面を通じたコミュニケーションでしかなく、それだけでは、一票を投じてもらうことは難しいからです。 これは政治家に限った話ではありませんが、人と人は実際に会ってみないとどんな人柄なのか?どういった考え方なのかを心底まで知ることはできません。ネットだけで党勢を拡大することには限界があります。 インターネットが当たり前になった現在においても、政治にとってきちんとしたコミュニケーション、リアルが大事であることは変わりません。これは街頭演説に頻繁に足を運ぶと実感できます。 特に支持していなかった政治家の街頭演説にたまたま遭遇し、せっかくだから握手をする。選挙に立候補するような人は、みんなパワフルで魅力的です。握手をしたら、多くの人が「思っていたよりも、良い人だった」という感想を抱き、政治家のファンになってしまうのです。
次のページ
YouTubeの台頭とコロナ禍で失速
1
2
3
4
5
6
フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある Twitter:@ogawahiro

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ