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銀座ロレックス強盗事件、犯罪者が目をつけた“盗品ロレックス”の換金性と市場価値

2.5億円分盗んでもその価格で換金できるわけではない

 上記の場合、①でも②でも、窃盗団は盗んだ時価で換金可能というわけではありません。むしろ、盗品は、その名の通り盗んだモノであるわけですから原価は0円。仮に奪ったモノが総額2.5億円分だったとしても、犯人は5000万円ぐらいの換金を目標としている可能性だってあるでしょう。  なお、②のように個人間取引で売った場合、いつかは「盗品」ということが明るみに出るため、①のように「盗品であるということを明かした上で、相場の半値以下で売る」ということが昔からよくある窃盗腕時計の処分方法なのかもしれません。  そうなると、相場の高い/安いには関係なく、犯人としては1個あたり数十万円単位で「何個売るか」ということが重要になるはずです。  むしろ、盗品を買うような層は、「50万円ぐらいまでは頑張って出せても、100万円以上の予算はない」といったような可能性があります。結局、実際の相場がどんなに高くなろうとも、盗品マーケットの相場はそれに連動するとは限りません。相場が高くなったからといって、盗品を買う層が出せるお金は限られているといえます。

高騰しているから狙われたわけではない

 今回のロレックス強盗は、相場上昇とはあまり関係がないと思います。  高級腕時計の盗難は昔からあることであり、その盗まれた品の売値は市場価値よりもずいぶん安いわけです。    今回の場合、銀座の超一等地で堂々と犯人が強盗を実施したということや、その様子を動画で撮影されていたということから、かなり話題となっています。ただ、高級腕時計の窃盗事件自体は昔からあるといえるのです。 「動画に収められた派手な盗難事件」と、「ロレックスが高騰している」という話題。この2つの話題が相まって、「ロレックスが高くなったから強盗事件が発生した」と結論づけるのは、メディア的には面白いのかもしれませんが、それは本質的でないと思います。 <文/斉藤由貴生>
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう

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