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銀座ロレックス強盗事件、犯罪者が目をつけた“盗品ロレックス”の換金性と市場価値

Rolex

写真はイメージです

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。  先日、銀座の時計店で発生した強盗事件が世間を賑わせています。ロレックスの強盗事件ということから、私のところにもマスメディア等から問い合わせが来ています。ただ、その質問の多くは「ロレックスの相場上昇と、今回の強盗の関連性について」といったものが多く、強盗事件の背景には相場上昇が関係しているという前提があるというように感じました。  ということで今回は、ロレックス強盗事件について私の見解をお伝えしようと思います。

時計が盗まれるという事件は昔からある

 まず、「ロレックス相場上昇と強盗の関係性」について、私の結論から先に述べておきますが、相場上昇と強盗の関連性はそこまで高くないと思っています。  というのも、高級腕時計の盗難事件は昔から存在。実際私は、そういった盗品を「買わないか」と持ちかけられた経験があります。  私の場合、10数年ほど前に、当時の新品相場が50万円程度だったロレックスと、30万円程度だった他ブランドの腕時計を2本セットで30万円で買わないか、と言われました。  通常であれば80万円する腕時計が30万円。つまり62%オフだったわけですが、しっかりと「盗品だから安い」と告げられたわけです。また、その際「盗品だから売ったらだめだ」とも補足された記憶があります。  もちろん、私はそのオファーを断ったわけですが、そうやって盗品が売られているのかということに驚いたわけです。興味深いのは、盗品は“盗品である”と宣言されて売られていたという点。また、それが市場価格の半額以下という値付けをされていたということだといえます。

なぜロレックスを狙ったのか?

 今回、犯人に狙われたのはロレックス専門店。高級腕時計を扱うお店は多々あるわけですが、その中でもロレックス専門店が狙われたことには意味があると思います。  高級腕時計店には、いくつかの種類がありますが、今回狙われたのは正規店ではないロレックス専門店。今回あえて正規店が狙われなかったのは、今、正規店に在庫が少ないからだと思います。また、様々な腕時計を扱う腕時計店を狙った場合、犯人に腕時計の知識がないと、「価値ある人気モデル」を探すことができないでしょう。しかし、ロレックスであれば、その大半が「人気ある状態」であるわけです。  ですから、窃盗団がロレックス専門店を狙うというのは、犯罪者の視点では理にかなっているといえます。
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ロレックスは売りやすい?
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1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう


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