更新日:2023年05月22日 16:21
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“中核派女子大生”が「広島サミット粉砕」を掲げる理由

活動に加わったきっかけは…

矢嶋尋 舌鋒鋭く語ってくれた矢嶋さんだが、本媒体が彼女に取材するのは今回が2度目である。前回は『週刊SPA!』5月2日・9日合併号の特集「大学サークルの危険なウラ側」で、昨今の新人獲得の事情などを話してもらったのである。近年、中核派は、YouTubeやTwitterを用いた宣伝、さらには同人誌即売会・コミックマーケットに出展し「会いにいける過激派」として存在感を強めている。矢嶋さんも、活動に加わったきっかけは「音楽の趣味が一緒だったTwitterのフォロワーに誘われたから」である。  しかも、最初に参加したのは2020年9月の革共同政治集会だ。デモや学習会ではなく、いきなり本気の集会に誘われたわけである。しかも、参加を決意した決定的場面も意外なものだ。 「そこで見たのは、51年ぶりに公然と姿を現した清水丈夫議長が『自己批判』をして、メチャクチャに野次られている光景でした。その時、ああ、この団体には権威主義がないんだなと思ったんです」

現在の情勢は「既に戦争が始まっている」状態

矢嶋尋 以来、活動に参加した矢嶋さんは自身が通う学習院大学でも頻繁にビラをまき、今や学内では有名人。ビラを撒いていると「いつも見てます」と声をかけられることも多い。活動のきっかけとなったTwitterは、尖った政治的なツイートばかりかと思いきや、合間に自撮りも欠かさないあたりが、実に現代的だ。  そんなデジタルネイティブ世代の活動家である矢嶋さんは、これからの展望をこんなふうに語った。 「軍事費2倍化や南西諸島へのミサイル配備など、既に戦争は始まっています。広島サミット粉砕の活動を通じて反対勢力が存在することを世界中にみせることで、新たな選択肢ができるわけじゃないですか。全力で戦って、これから戦争が始まっても一緒に戦える運動をつくっていきたいと思っています」  彼らの主張を支持する、しないを問わず、なにか気になってしまうのは、諦観に満ちた現代には希な強固な意志ゆえだろうか。 <取材・文/昼間たかし>
ルポライター。1975年岡山県に生まれる。県立金川高等学校を卒業後、上京。立正大学文学部史学科卒業。東京大学情報学環教育部修了。ルポライターとして様々な媒体に寄稿。著書に『コミックばかり読まないで』『これでいいのか岡山』
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