更新日:2023年05月26日 17:32
お金

日経平均3万円台「いま仕込みたい個別株」をプロが厳選。高配当銘柄に注目するワケ

JT、信越化学に目をつけるワケ

JT(2914)株価3088円(5月24日時点の終値)

JT(2914)株価3088円(5月24日時点の終値)

 株主優待を廃止し、配当金の増配を発表して話題になってるのが、JT(2914)だ。単位株100株で31万円くらいだが、その配当利回りは6%を超えている。2017年ごろは4000円台だったものが徐々に斬り下がり、2021年から22年あたりは2000円台前半をうろついていたものが、この1年に着実に株価が戻って4000円から考えると半値戻し状態。  主力事業がたばこというのがちょっと気になるが、医薬品や食品も手がけており、何しろ最大の株主が財務大臣(=財務省、日本国)というのが、まあ下がっても目先は株価がゼロになる可能性はないだろうという判断。さらに下がったら買い増し、もしも2017年の4000円の水準まで戻ったら持株の半分は売って利益確定させてしまうというダブルゲインを狙っている。  これから買われる方は6月末が配当落ちに当たる。その後は若干下がる傾向にあるので、値動きを見て少しづつ購入していくのがオススメ。
信越化学(4063)株価4253円(5月24日時点の終値)

信越化学(4063)株価4253円(5月24日時点の終値)

 円安の恩恵を受け、最高純益をまたもや叩き出したのが手堅い銘柄として有名な信越化学(4063)。国内化学メーカーとして最大の時価総額と営業利益なのだ。PBRはまだ大きく1を割った0.44。日本企業の平均が9.4と言われるROE(自己資本投下率。投下した資本に対してどれだけ効率よく利益を出しているかの指標)は何と18.3%もある。  この15年あまり、株価は切り上がっており、一時4000円をつけた後調整局面に入ったが、その後また戻してきた。今は1株4200円ほどになっている。  私は3500円くらいで購入して、現在は次の調整局面を待っている次第。信越化学の配当利回りは未定となっているが、過去を見てみると、配当金も2021年3月は50円、22年3月80円、23年3月には100円と着実に上がってきている。さらなる増配も十分見込めると思われる。  JTも信越化学も、大金持ちは別として、少額の投資資金で健全な現物取引で株式投資を行おうという投資家は、自分の投資資金と株価をよく見て考えてほしい。自分に許される投資資金の全てを賭けて投資するようなことをしてほしくない。それこそ、火傷の元だからだ。上手に手堅く買っていくことだ。詳しくは拙著『投資の教科書』をご一読いただきたい。  まあ、多くの投資資金を持っているのなら、とりあえず買って万が一下がったら買い増しすればいいが、この株価のレベルになると、初心者なら200~500株くらいまでで収めたいという人がほとんどだろう。じっくり株価を狙い撃ちすべきだ。

少額で投資できる銘柄は?

 もう少し、単位株の投資資金が安くて魅力的な会社はないだろうか?  ソフトバンクグループ自体は、赤字を出し投資自体もなかなかうまくいってないのかもしれない。携帯電話事業やPayPayなどの金融業を行っているソフトバンク(9434)は、携帯電話事業は国内では飽和状態の上に、通信料金の価格競争もあり、なかなか利益を増やしていくのは難しい環境にあるが、携帯電話を中心にして、ヤフー、ZOZO、PayPayなど金融や消費関連にまで事業を広げていってるのを見ると、話は別となるのではないだろうか?  連結ROEは18%台で、配当利回りも5.7%ほど。株価は一時期1200円くらいまで下がったものの、現在は1500円前後にある。過去のチャートを見てもらえばわかるように高値圏であるので、突っ込んで買うのは控えているが、100株の単位株で15万円前後なので、少し買ってみて、さらに株価が下がれば買い増す予定でいる。
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経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『つみたてよりも個別株! 新NISAこの10銘柄を買いなさい!』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』、『安心・安全・確実な投資の教科書』など多数 twitter:@SatoHaruhiko

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