更新日:2023年05月26日 17:32
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日経平均3万円台「いま仕込みたい個別株」をプロが厳選。高配当銘柄に注目するワケ

日経平均、バブル崩壊後最高値

日経平均 メディアでの証券関係者、専門家と言われるプロの投資家のコメントがあっという間に様変わりした。  4月から5月のはじめまで、日本の株式は過熱感があり、6月ごろまでには日経平均は2万6000円台までの調整局面があるだろう。そういう主張が多く聞かれた。  その後の市況環境は変わっていないが、あれよあれよという間に、日経平均は大型連休明けから連騰し3万円台に乗せただけでなく、5月22日には33年ぶりの3万1000円台のバブル崩壊後の最高値にも到達してしまった。 「まだ上がりますか?」  私のところに、株式で儲けたいという人が問い合わせをしてくる。

株価を押し上げている要因は?

 日経平均がバブル崩壊後に3万円台に到達したのは今回が最初ではない。コロナ感染で世界中の経済が混乱にあった1年8か月前にもあった。コロナに対する経済対策で世界中が極端な金融緩和をしたことでマネーが溢れ、それが、実物経済でなくマネーゲームに向かった。まさに実態なき株価上昇だったわけだ。  そのためにその後は調整局面が入った。そして、記憶にも新しい、昨年後半からの金融と商社をけん引役とする上昇局面の中でじわりと株価は上がり、日経平均は年初と比べても2割程度上がったわけだ。  件の調整局面を予想していた株式評論家は、株価が3万円台を抜けると、日本経済の再認識、低迷していた日本株式の再評価がおこなわれていると言いだした。日経平均はバブル時の最高値であった3万8900円を目指すと言い出す専門家まで現れた。  それほど景気はいいのだろうか? 株式の数値だけで株価は決定されてきたか? 市況は好調のまま推移するのだろうか? 実態なき株価高騰ではないだろうか?  もちろん株価を上げる要因がないわけではない。3期連続で企業業績が良かったこと、日本だけが先進国で異様な低金利であること、株式評論家は最高値になったとしてもPER(株価収益率)はせいぜい14~15倍で決して異様な値ではないことも理由に挙げている。  異様な低金利が続いているのは、日本銀行だけが先進国の中で異次元の金融緩和の出口を見つけられずに続けているだけだ。円安はこの影響もあってのこと。だから、理不尽な円安水準なのだ。  円安が日本経済にプラスだと言い切れたのはもう過去のこと。円安で儲かる企業もあれば、損する会社もあるのが今の日本経済だ。円安で注目したいのは、むしろ外国人投資家の懐具合ではないだろうか。  円安で相対的に日本株が安くなった。外国人投資家は今年に入って、特にプライム市場で買い越しが続いていること、これが株価押上の要因の一つになってるはずだ。しかし、専門家の中には、G7広島サミットの成功が買い要因などとする者もいて笑ってしまった。
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過熱相場における私の投資戦略
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経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『つみたてよりも個別株! 新NISAこの10銘柄を買いなさい!』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』、『安心・安全・確実な投資の教科書』など多数 twitter:@SatoHaruhiko

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