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『THE SECOND』の興奮がさめない異常。スピードワゴン、囲碁将棋…芸人たちはラジオや配信でどう語っているのか

お笑い「ゾンビ」を熱狂させる漫才

 ごく個人的な話になるけれど、放送されたグランプリファイナルを、私はTwitterを眺めながら見ていた。自分がいちばん一生懸命お笑いライブに通っていた2010年代前半頃、同じように熱心にお笑いを見ていた人たちが、久しぶりに『THE SECOND』を見ている様子が垣間見えた。 「THE SECONDのいいところは、昔のお笑いファンがゾンビみたいにツイッターに蘇ってるとこだな」  ある芸人さんによるツイートに反応し、「ゾンビ」を自称する人たちが現れては、当時の思い出をつぶやいていた。思わずそうさせるだけの戦いが、『THE SECOND』にはあった。  テレビで活躍しているけれど賞レースでは報われなかった人たち、いまも劇場に数え切れないほど立ち続けている人たち、漫才の機会自体が以前より減っているなかでこの大会に向けてもう一度立ち上がった人たち。昔、賞レースに挑んでいた、けれど戦いの場を失って、違うやり方でそれぞれの活動をしていたコンビやグループが、もう一度漫才で戦うことになった。

テレビで漫才する8組は輝いて見えた

THE SECOND

※『THE SECOND~漫才トーナメント~』フジテレビ公式サイトより

 辿ってきた道のりが違うから、そこにある漫才がどれも、他の人には絶対に真似できないその人たちだけのもので、だからどれもとんでもなく面白かった。  お笑いライブに通っていたあの頃、今回『THE SECOND』に参加した人たちがこぞって活躍する未来を夢見ていた。当時はYouTubeも今ほど普及していなかったし、「舞台に立つだけでご飯を食べられる」というモデルにも想像が及ばなくて、テレビに出ることだけが売れることだと思っていた。  いまはさまざまな道があって、この大会に参加した人たちは、それぞれの方法で芸人の活動を続けている。そんな中で、いまあの8組がゴールデンタイムのテレビで漫才する姿は輝いて見えた。
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誰よりも当事者が楽しむ大会
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ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。X(旧Twitter):@troookie

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